企業やブランドの広告宣伝の目的で、特定の期間に、特定のテーマやメッセージを設定して行う一連の販促活動が「キャンペーン」。
一方、キャンペーンと言っても、「クローズドキャンペーン」と「オープンキャンペーン」の2種類があり、それぞれ目的や効果が異なることをきちんと理解できている販促担当者は、実は多くありません。
本記事では、クローズドキャンペーンとオープンキャンペーンの違いを解説しながら、“今”行うべきキャンペーンについて考察します。
まずは、オープンキャンペーンとクローズドキャンペーンの目的とメリットを踏まえて、両者の違いを説明します。
オープンキャンペーン(オープン懸賞)とは
オープンキャンペーンの目的と種類
オープンキャンペーンの目的は、商品購入の促進と商品の認知度アップです。
商品やサービスの購入を促しつつも、同時にブランドやアイテムの認知度を上げることも期待して実施します。
オープンキャンペーンでは、主に、抽選で景品を進呈するオープン懸賞を展開するものの、懸賞では商品の購入を参加条件としません。
商品を購入したかは問わず、誰でもオープンに参加できるのがオープン懸賞です。
オープンキャンペーンの例
・クイズ形式:例「クイズ正解者の中から○名に景品プレゼント」
・アンケート形式:例「アンケートに回答した人の中から○名に景品プレゼント」
・コンテスト形式:例「イラストコンテスト参加者の中から○名に景品プレゼント」
オープンキャンペーン(オープン懸賞)の事例
オープンキャンペーンとして実際に行われたオープン懸賞の一例を紹介します。
箱根そば「箱そばの日プレゼントキャンペーン」
自社ブランド「箱そば」の認知を目的に、オープンキャンペーンという手法を採用しているのが、「箱根そば」を展開している株式会社小田急レストランシステム。
8月5日(はこ)を「箱そばの日」として、豪華な賞品が抽選で当たるプレゼントキャンペーンを実施しました。
応募方法は簡単で、誰でも正解が分かるようなクイズに回答するだけです。
また、「箱そばの日」キャンペーンは1回だけではなく、応募方法を変化させながら、8月5日近辺に、毎年繰り返し実施していることも、ブランドの認知度アップに大きく貢献しています。
クローズドキャンペーン(クローズド懸賞)とは
クローズドキャンペーンの目的と種類
クローズドキャンペーンの目的のひとつは、オープンキャンペーンと同様、商品購入の促進です。
ただ、不特定多数に向けて広くオープンに行うオープンキャンペーンに対し、クローズドキャンペーンでは、既存顧客との接点をさらに強めることを目的として販促活動を行います。
クローズドキャンペーンでも、手法として懸賞(クローズド懸賞)を用いることがほとんどです。
そして、クローズド懸賞は、商品を購入してもらうことを前提とした、購入者限定キャンペーンであることから、マストバイキャンペーンとも呼ばれます。
具体的には、対象商品にシリアルナンバーやQRコードを貼付して、キャンペーンサイトにアクセスしてもらうなど、顧客を牽引するための仕組みが必要となる点を抑えておく必要があります。
クローズドキャンペーン(クローズド懸賞)の事例
クローズドキャンペーンとして実際に行われたクローズド懸賞の一例を紹介します。
アサヒ飲料「ムーミンニョロニョロやすらぎ抱き枕 当たる」キャンペーン
対象商品である十六茶のペットボトルに印刷されたQRコードを読み込み、シリアルナンバーを入力することで応募できるクローズド懸賞。
抽選で、3,000名にニョロニョロやすらぎ抱き枕が当たります。
お茶の需要が高まる秋という季節や、人気キャラクターとのタイアップを利用し、既存顧客からの注目度をさらに高めることに成功しています。
そして、オープンキャンペーンとクローズドキャンペーンの違いを端的にまとめると、”広く浅く”のオープンキャンペーン、”狭く深く”のクローズドキャンペーンと言えます。
顧客にコミットするならどちらのキャンペーン?
オープンキャンペーンとクローズドキャンペーンは、目的に合わせて使い分けるべきです。
顧客のロイヤリティを高め、顧客との接点を強化することが目的の場合、オープンキャンペーンとクローズドキャンペーンのどちらを選択すべきでしょうか。
日本プロモーショナル・マーケティング協会 調査研究委員会が公開した、「withコロナ時代のプロモーション実態調査報告書」では、販促活動を行う企業の今後の取り組みや現状を調査しています。
この調査において、”顧客との確実な接点づくりに必要なもの”を記入する自由回答で、”顧客個人の理解”を挙げる企業が多いことが目を引きます。
・「一人ひとりの思いや生活に寄り添う」
・「今まで以上に、共感・つながるを意識したアプローチ」
・「パーソナル文脈が非常に重要」
・「非接触でも商品の魅力を最大限に伝える」
販促活動は、広く浅い顧客の開拓ではなく、顧客との確実な接点づくりに軸足を移すべきと考える企業が増えていることが、調査から明らかになりました。
このような目的の達成のためには、クローズドキャンペーンを展開すれば、顧客のロイヤリティを高め、接点を強固なものにできるでしょう。
コロナ禍!だから今は顧客のロイヤリティアップに注力する
「顧客との確実な接点づくりに軸足を移したい」と回答する販促担当者が増えたもう一つの理由が、2021年現在、世界中のあらゆる国がコロナ禍にあり、身動きが取れないという現状です。
同じく「withコロナ時代のプロモーション実態調査報告書」によると、販促活動で用いる手法について、”体験手法”や”イベント”を用いることが、コロナ禍前と比較し「減った」と、90%の企業が回答しています。
”体験”や”イベント”は、オープンキャンペーンで活用されることが多い手法ですが、コロナ禍においては、人と人との接触を促す原因となるため大幅に控えている現状が浮き彫りとなりました。
コロナ禍で効果的なオープンキャンペーンが難しいことも、クローズドキャンペーンでの接点強化を狙う企業が増えた一因のようです。
キャンペーンで配布する場合に注意したいこと
景品やノベルティを配布したり、懸賞を行ったりすれば、キャンペーンが盛り上がります。
ただし、特にクローズドキャンペーンを行う場合には、景品の価格に上限があることは知っておくべきです。
景品の配布や懸賞をするときに守るべき法律として、「景品表示法(通称:景表法)」があり、違反した場合は、罰則の対象となります。
「景品表示法」については、「今さら聞けない!景品表示法の基礎知識」で詳しく解説していますので、参考にしてください。
まとめ
「クローズドキャンペーン(懸賞)」と「オープンキャンペーン(懸賞)」の違いについて説明してきました。
双方でメリットが異なるものの、顧客との確実な接点を作る目的であれば、「クローズドキャンペーン」が効果的です。
自社に合ったキャンペーンの手法などを知りたい方は、お気軽にNOVEZOにお問い合わせください。
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- コンドウマリ