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ザリガニワークス緊急取材!あの人気グッズのアイデアの源泉は?前編【ノベルティトップランナー】

(最終更新日:
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ノベルティトップランナーとは?

ノベルティやプロモーション、グッズなどに関わり、第一線で活躍をしているあの人に突撃インタビュー。
今回は、マルチクリエイター「ザリガニワークス」の武笠太郎(むかさたろう)さんと坂本嘉種(さかもとよしたね)さんに、いろいろお話をお伺いしました。

じゃん!プレミさん、このガチャガチャってどう思う?

あー、「石」ですね!
知ってますよ、センパイ。
初めて見たときは、“なぜに石?“って二度見しましたもん。
でも、誰がこんなアイデア考えたんですかねえ。普通、思いつかないでしょ。
考えた人の頭の中を覗いてみたいですよ。

・・・
実は、今から覗きに行けるぞう。
NOVEZO大型対談決定!
なんと、今、NOVEZO会議室に、人気クリエイター「ザリガニワークス」のお二人をお招きしているのだ。

ええ!
“ザリガニワークス”・・と・・・(検索中)
●「僕が欲しかったのはこれじゃない!」と子供が泣き叫ぶ手作り玩具「コレジャナイロボ」
●美術の授業で使う、石膏の胸像によるアイドルグループ「石膏ボーイズ」
●土下座ストラップ・・
などの企画・デザインなどを行うマルチクリエイティブユニット。

コレジャナイロボ
©️zariganiworks
石膏ボーイズ
©️Z・K・H/SBP

ザリガニワークスの作品って、なんだか斜め上を行くものばかりですねぇ。
でも、どの作品も見たことありますよ!
これは、一度見たら忘れられないです。
どんなクリエイターさんなのだろう。
めちゃめちゃトガってる方々だったりして・・
お会いするのが楽しみ!

よし、今回の緊急取材ではザリガニワークスのアイデアの源泉について、がっつり取材するぞう。

マルチクリエイター「ザリガニワークス」とは?

ドアをコンコン・・
失礼します。
本日はお越しいただき、ありがとうございます。
ザリガニワークスの武笠太郎さんと坂本嘉種さんですね。

ザリガニワークスの工作担当、武笠です。

デザイン担当の坂本です。

お二人共、笑顔が素敵で優しそう。
本日は取材をお受けいただき、ありがとうございます!

お二人は、多摩美術大学グラフィックデザイン学科の先輩(坂本さん)と後輩(武笠さん)の間柄とのことですね。
そして、大学の軽音楽サークルで出会ったと伺っています。
大学卒業後、お二人それぞれクリエイターとして成功しながらも、ザリガニワークスを結成したのはなぜですか?

僕は、大学を卒業した後、玩具メーカーに就職して、玩具やキャラクターグッズの企画開発をしていました。
でも、なんとなく独立したくて、いつか独立しないと気が済まないと感じていたのが28歳くらいの頃です。
そこで、30歳までに独立しようと決めました。
独立するにあたり、これまで坂本とやってきた活動が一番楽しく・心地良く感じていたので、まず坂本に相談したという経緯です。

会社員をされていたなんて意外!
大学を卒業した後、坂本さんは何をされていたのですか?

僕も同じく、ゲーム会社の社員としてキャラクターなどのデザインをしていました。
デジタルデータを現実に出現させるということは、今でこそ難しくありませんね。
でも、当時は作ったものがモニターから出ないと感じながら、日々デザインをしていたのを覚えています。
現実に介入していけるモノづくりの世界には憧れを感じていました。
そんなタイミングで、ずっとモノづくりをやっていた武笠から声をかけてもらったのは、運命だったのかもしれません。

コレジャナイロボ、コレジャナイカメラ、コレジャナイキャンディ・・”じゃない”モノ達がショップに溢れる

時を経て、ザリガニワークスが大きく注目を集めたのが、2008年「コレジャナイロボ」でのグッドデザイン賞受賞。
”子供の頃体験した「もらったプレゼントが希望したものと違った」という事件を、大人になり振り返ると懐かしい大切な記憶に生まれ変わる。”
そんな感覚を商品にしたのが「コレジャナイロボ」とのことですね。

2008年グッドデザイン賞 ギフト用木製ロボット [コレジャナイロボ]
©️zariganiworks

絶妙な偽物感やカッコ悪さを出すために、一体一体武笠さんが手作りされているとのこと。これまでの製作数は7500体にもなるのですね!
でも、これだけ売れたなら、製作を外注することは考えなかったのですか?

「コレジャナイロボ」は、きっちり作りたくないんです。
部品の付き方にしても微妙な手作り感を出したい。
工場生産はこういうゆらぎを作るという作業が一番苦手で、手作り感を出すというのは非常にハードルが高いものなのです。
コツコツと、自分で作ったほうが速いと思っているうちに、7500体ほどになりました。
だから「コレジャナイロボ」は、一つとして同じものは存在しませんよ。

製作効率の心配とか、雇われ会社員的な質問しか浮かばなかった私、ちょっと恥ずかしい・・。

グッドデザイン賞を受賞したことで、どのような影響がありましたか?

Pentaxさんやトゥモローランドさんなど、各企業と「コレジャナイロボ」のコラボが増えましたね。
グッドデザイン賞の影響としては、ザリガニワークスに対する社会的な信用が増したというのがあります。

グッドデザイン賞を受賞した後は、クライアント企業の決裁権限を持つ方が、僕らの企画に対して承認印を押してくれやすくなった。

確かに。それまで、クライアントの企画担当者が、僕らが出した企画を一生懸命通そうとしてくれても、その上司に理解されずに不採用、というパターンが少なくありませんでした(笑)。

受賞以前のご苦労を垣間見た気がする・・

そうして、「コレジャナイロボ」はいろんな企業を巻き込んで、コラボ商品、コレジャナイロボキーホルダー、コレジャナイロボTシャツ、コレジャナイロボガチャガチャなど、様々なタイアップ企画を生んでいますね。

坂本さん作詞・作曲による、コレジャナイロボ主題歌CD「IT IS NOT THIS!コレジャナイロボ!」まである!
あれ!なんと、歌っているのは、あの水木一郎さん。

ほんとだ!
マジンガーZの人が、「コ・レ・ジャ・ナイ!」って叫んでる・・
これはヤバいぞう。

でも、どうやって水木さんをその気にさせたんだろ・・
ザリガニワークスのお二人は、周りの巻き込み力が半端ない人達だということはよく分かりました。

タイトル「石」、以上!誰もが二度見するあのガチャガチャ裏話

ザリガニワークスの最近の作品では、カプセルトイ(ガチャガチャ)の「石」が、SNSでも話題になっていますね。
説明、「パカッと開くと中に小物を入れられる石」・・・。
以上!

このガチャガチャ、絶対二度見しますよね。
でも、なぜ「石」を作ろうと思われたのかは、超疑問です。

いやぁ、「石」にした理由を説明すると、意外と面白くないんですよね、これが(笑)。

ある日、家や車の合鍵を隠すにはどうしたらいいかと考えていたんです。
「あ、石の中に鍵を入れて、石を玄関のところに置いといたらいいかもな」と思いつきました。
そして、そんな石をガチャガチャにしたら面白いかなと。
タイトルも、シンプルに「石」にして、メーカーであるブシロードクリエイティブさんの「TAMA-KYU」企画会議に企画書を出しました。
思いの外、会議の場で盛り上がって、トントン拍子で商品化が決まったというのが経緯です。

鍵を隠すにしても、石の中に入れるって、僕、10年考えても思い付かないぞう。

僕自身は、その時、合鍵を隠す必要はなかったのですが、なぜか隠せる方法だけ考えていたのですよね。
なんでだろ(笑)。

石は、丸石・赤石・石の3種類ですが、なぜこの形の石になったのですか?
石の形って色々ありますが。

ガチャガチャ「石」で苦労したのは、石を再現するところでした。
”いい感じの石”探しをしたのは、うちの娘なんです。
娘が家の近くの河原で拾ってきた石の中から、「これはだめ。これもだめ。これは合格」・・という具合に選別しました。

“ガチャガチャにいい感じの石”っていう言葉、初めて聞きました。

そうして選んだ石を中国の工場に送って3Dスキャンしてもらいました。

そのときに中国の税関で止められたんですよね。
「何だこれは」って言われて、「石です」と(笑)。

でも、河原の無数の石から、”いい感じの石”と定義するその判断基準は何でしょうか?

あくまでガチャガチャ「石」としていい感じかどうかですが、物が入れやすそうだったり、最大公約数的に多くの人が納得して、石だとイメージしてくれそうな”石”という基準ですね。
あまりに変わった形の石だと、石とイメージしてもらえないですからね。
でも、「石」の発売以降、いろんな石マニアの人が食いついてくれて、新しいことも知ることができて面白かったです。

「石」は、2021年夏の再販が決定しているとのこと。
一見馬鹿馬鹿しいことをとことん追求する本気度がすごいな。

さらに「石」にはCMまであるんですね。一つの企画からの横広がりが凄いですね。

ザリガニワークスは何クリエイター?「ごはんかいじゅうパップ」で声優も

ザリガニワークスは、企画・デザイン・イラストから作詞作曲まで、境界なく活動されていますが、本まで出版されているんですね。

どうしてザリガニワークスが仕事術の本なのですか?
ちょっとイメージが結びつかないかも。

まず、書籍出版の経緯は、出版社さんが僕らの活動を面白がってくれて、本を出さないかと。
なぜビジネス本にしたかというと、「今(2013年当時)、ビジネス本が売れてるらしい」という話から、”じゃあビジネス本風にしようかな”みたいなノリですね。

うそー!
めちゃめちゃ軽やかなノリですね。

さらに、武笠さんがイラストを担当した「ごはんかいじゅうパップ」は、テレビアニメの企画だったのですよね。

ごはんかいじゅうパップ
©️CUC

長編の特別版では、キャラクターデザイン、演出・監督・脚本の他、武笠さんはトムヤムクン役、坂本さんはパッタイーン役で声優もされているとありますね。

でも、声優やりませんかと言われて引き受けられる人って、なかなかいないと思うのですが・・。

僕なら、長い鼻だけの出演ならOKと言うのがやっとだぞう。

色々な新しいことに取り組んでいる理由は、クライアントから依頼があったからということにはなるのですが、普段から何でもやりたいと言っているから依頼をいただけるというのはありますね。

やりたいことを日頃から周りに語っておくことで、夢を引き寄せられるということなんだな・・。

プロの仕事で締めるべき部分はガッチリ締める、他の部分で上手く遊ぶ

何でもやりたいのは僕の方。
小さい頃から、自分を”何屋”って決めたくないと思っていました。
自分が何者か決めちゃうのは嫌だと、子供の頃から思っていました。
それに、色々やったほうが目立ちますしね!
そんな僕のミーハーさから、何でも引き受けているというのがひとつ。
あと、これあまり言っちゃいけないかもしれないのですが、「あまり予算がないけど、何か企画して欲しい・・」という依頼が多いのがもう一つの理由ですね。

なんと現実的な!販促担当者のジレンマが目に浮かぶぞう。

でも、プロジェクト予算が足りないと言われたからって、じゃあ私達が何でもやりましょうって、私は言えないな。

何でもやる、結果としてプロジェクトまるごと企画することになるということをずっとやってきました。

だから、声優やりませんか?と言われたときは、「はーい、やります」と即答しましたね。
できるできないで判断する前に、それやりましょうと引き受けるのが癖になっていますね。
法に触れてなければなんでもやる勢いですね(笑)。

逆に、引き受けてみて、やっぱりやらなければ良かった仕事などありますか?

それはないですね。
何でもやると言っても、最終的にはできるできないという判断はしていて、この部分は素人の仕事でも面白くなるけど、ここは締めなくてはいけない・プロが担当しなくてはいけないという部分はジャッジしますね。
ここはプロを外注しなくてはいけないので予算を確保したいと、クライアントさんとコミュニケーションを取りながら調整します。全員が納得できるようプロジェクトをまとめています。

だから、引き受けた後で後悔するような仕事は、始めから一切作らないですね。
できる範囲でやりたいことができるよう、全体をまとめていきます。

うわー。絶妙なさじ加減での判断。
制限がある中で、クライアントがやりたいことを実現しつつ、かつ全員が楽しめるようプロジェクトをコントロールするということですね。

クライアントが、「ザリガニワークスに任せておけばなんとかしてくれる」と安心している様子がよく分かるね。
だからこそ、依頼内容が「ナンカ企画して欲しい」とか、超ざっくりしているんだろうけど・・

僕が持っていない半分を武笠が持ってる 二人でくっついていないと死ぬかも

ここまでのお話の中で、武笠さんと坂本さんの阿吽の呼吸をこれでもかというほど感じましたが、お二人で喧嘩とかしないのですか?
ほらほら、世間のアイドルグループや音楽ユニットを見ても、人間関係のもつれが~とかありがちじゃないですかぁ。

喧嘩にならないですね。
これ、公には初めて言うかも知れないのですが、最近仲が良過ぎてやばいんじゃないかと思ったりします。
年を追うごとにどんどん仲が良くなってきて、最近だと逆に甘くなっている気がする。
アイデアの精度に影響しなければいいなと危惧しているところです。

いいんですか?そのぶっちゃけ話。

でも、二人でいても全く喧嘩にならないのは本当。

僕の半分欠けている部分をそのまま武笠が持っていて、武笠の半分欠けている部分を僕が持っているんです。
だから、僕ら二人は運命の出会いをしたというより、くっついていないと死ぬ!

なんと!

例えば、「これ、凄くない?面白くない?」と、ちょっと精度の低いようなアイデアを家族や周りの友人に話しても、「ふーん」くらいなんですよ。
でも、坂本になら、その凄さや話の肝みたいな部分が即座に分かってもらえる。そんな楽しさがあるから二人でやっているというのも大きいですね。

楽しい作品やプロダクトって、楽しいクリエイターさんから生まれるということがよく分かるな。

お二人とお話していると、あっという間に時間が経ってしまう・・。

おっと、今回の取材ではザリガニワークスのアイデアの源泉を探るんだった!
あの有名企画やプロダクトの開発秘話など、もっと深堀りするぞう。
続編記事もお楽しみに。

後編はこちら↓

販促アイデア事例をまとめました!(前編)

プロフィール:「ザリガニワークス」武笠太郎さん・坂本嘉種さん

武笠太郎さん・坂本嘉種さんによるマルチクリエイティブ会社「ザリガニワークス」。
「コレジャナイロボ」や「自爆ボタン」「土下座ストラップ」「石」など、玩具の企画開発やデザイン、「ごはんかいじゅうパップ」「弾神オドロッカー」「石膏ボーイズ」などのキャラクターデザイン、作詞作曲、ストーリー執筆等、ジャンルにとらわれないコンテンツ制作を広く展開。

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企画・編集:
NOVEZO編集部
ライティング:
コンドウマリ

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