新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光振興に向けた取り組みが難しい状況が続いていました。
2022年に入り、観光客を呼び込みたい地域では、地域外の人たちに向けたアピール合戦が徐々に再燃しているようです。
そこで、本記事では、地域に観光客を呼び込みたい地域・自治体が知っておきたい、観光プロモーションの基本や注意点を事例を交えながら説明します。
観光プロモーション(キャンペーン)とは
観光プロモーション(キャンペーン)とは、観光マーケティングにおいて、販売を促進するためのすべての活動を指します。
具体的には、広告宣伝や広報(PR)、セールスプロモーションなどの活動を行います。
観光プロモーションの目的は、地域自体や、地域内の商品・サービスの存在を多くの人に知ってもらうこと、また、地域への旅行と商品・サービスの購入を促すことです。
観光プロモーションの種類・手法
観光庁が公開している「観光地の魅力向上に向けた評価手法調査事業報告書」では、人々が旅行先を決める際の重要な情報源について調査しています。
結果、”以前来訪した自身の経験”を重要な情報と考えると回答した人が31.4%と最多となりました。
次いで、”家族や友人からの紹介”が13.4%となっており、自身または知人から得た情報に基づき旅行先を決めたい人が多いことが明らかになりました。
観光プロモーションの鍵は、「以前に訪れたあの土地をもう一度訪れてみたい」というリピーターをどれだけ増やせるかであると言えるでしょう。
リピーターを増やすためには、まず地域を知ってもらい、次に、地域のファンになってもらい、それらファン自身が来訪するだけでなく、口コミや紹介で次の来訪者を連れてきてもらうという流れを目指します。
広告・宣伝
プロモーションの中で、最も代表的な手法が広告宣伝です。
テレビCM、新聞や雑誌などの広告、ネット広告などが該当します。
広告宣伝のメリットは、商品やサービスを確実に認知させられることです。
一方、予算が膨らみがちというデメリットがあります。
ファン化
上述のとおり、31.4%の旅行者が、以前に自身が来訪したときの経験が、次の旅行先を決めるための重要な情報源だったと回答しています。
初回の来訪で、その地域のファンになった場合は、特別な宣伝活動をしなくても、自分自身の判断で再び、地域を訪れてくれるのです。
まず、広告宣伝で地域を知ってもらうこと、そして、初回の来訪時に楽しい思い出を作ってもらうことが地域のファンを獲得するために非常に重要です。
口コミ・拡散
近年では、SNSや口コミによるプロモーションが、無視できないレベルで影響力を発揮するようになりました。
SNSや口コミの手法は、地域や企業のファンを作るのに向いており、一度話題になると爆発的に拡散するという点が、大きなメリットです。
さらに、運用にコストがかからない点も大きな特長です。
観光プロモーションの注意点
地域の人に知られていないプロモーションは無意味
市内限定で使えるクーポンなどを発行する場合、うまく機能すれば、地元経済が活性化するだけでなく、地域全体の盛り上げにつなげることができます。
一方、クーポンが使える店舗が数店舗のみで、地域の人々がクーポンの存在をよく知らないために、プロモーション失敗という事例も少なくありません。
安易に”○○グランプリ”を開催しない
“ゆるキャラグランプリ“や”B-1グランプリ“など、地域や店舗が競い合う祭典も多く開催されており、盛り上がりを見せています。
ただし、例えば、ゆるキャラグランプリの場合は、参加キャラクター数は2000キャラ以上です。そのうち、注目してもらえるのは上位数十ほどのキャラクターとその地域でしょう。
また、グルメグランプリにおいても、注目されるのは上位のみで、多くの店舗では赤字となってしまいます。
“○○グランプリ”では、すべての店舗・地域に恩恵があるわけではなく、地域の観光振興という目的としては、効果が薄い手法なのです。
地域の特性・魅力とずれた企画は無意味
人口が少ない地域に、大きなショッピングモールを建設して大失敗という自治体があります。
また、芸能人や大きなセットを使ってPR動画を作成し、YouTubeにアップしたものの、全く話題にならずという事例もあります。
都会ではない地域での都会的演出や大掛かりすぎるコンテンツにより、現状とプロモーションで乖離が発生していることが原因です。
地域プロモーションの成功事例
広告宣伝と拡散に効果抜群のアニメコラボ 「ゆるキャン×大井川鐵道」
大井川鐵道が、沿線地域の新たな観光需要を創出と大井川流域エリアの活性化に寄与することを目的に、「ゆるキャン△×大井川鐡道 大井川流域誘客・周遊促進キャンペーン」を展開。
描き下ろしイラストデザインのフリーきっぷ(2日間)の限定販売など、人気アニメ「ゆるキャン△」ファンなら、是非手に入れて乗車してみたい仕掛けが満載です。
大井川鐵道が「ゆるキャン△」とコラボしている理由は、アニメに人気があるからという理由ではありません。「ゆるキャン△」には、大井川鐵道沿線が物語の舞台として登場しており、アニメの内容と大井川鐵道の事業とに一貫性があります。
観光プロモーションの注意点で述べたとおり、地域の特性・魅力とずれた企画を行わない点に注意しながら成功した好例です。
沼津市×ラブライブ!サンシャイン!!
大井川鐡道の事例と同様、観光プロモーションの手法のうち特に”広告宣伝”と”口コミ・拡散”に効果を発揮したプロモーションを展開したのが、千葉県沼津市。
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とのコラボで、沼津市はアニメの聖地として多くのリピーターを呼び込みました。
沼津市の場合も、アニメに人気が出たから飛びついたのではなく、アニメ放送前、雑誌「電撃G’s magazine」で企画が発表された段階から舞台は沼津であると告知するなど、コンテンツ作りから関わっています。
ファン化と拡散に加え低予算&効果持続 「街ガチャin船橋」
観光プロモーションの注意点で説明したとおり、地域の住人が置き去りになってしまう企画では成功しません。
「地域の魅力再発見」をテーマに地域内交流を促し、結果として観光振興につなげることに成功したのが船橋市です。
アンデルセン公園や船橋大神宮など船橋の名所をアクリルキーホルダー化。ガチャガチャとしてカプセルに詰め込んだ「街ガチャin船橋」を設置しました。
まずは、住民にもっと地域を好きになってもらいファン化しつつ、口コミなどで地域外の人々にアピールしてもらうことに成功しています。
「街ガチャin船橋」の企画で特に優れている点は、広報宣伝に過剰な費用が発生していないことと、第2段・第3段と企画を継続できるため、持続性のあるプロモーションにしている点です。
まとめ
地域に観光客を呼び込みたい地域・自治体が知っておきたい、観光プロモーションの基本や注意点を事例を交えながら説明してきました。
プロモーションには、ノウハウが必要です。
「地域の観光振興につながるキャンペーン企画をしたいが、何から手を付けるべきか分からない・・」
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