この間、駅のガチャガチャマシーンで20代~30代の女性が遊んでいるところを見たんだ。子ども向けのおもちゃを欲しがる大人の女性がいるなんて驚いたよ。
何言ってるんですか、センパイ!最近のガチャガチャはむしろ、子どもではなく大人をターゲットにした商品が大人気です。長引くコロナ禍で暗いニュースが続く中、ガチャガチャは不況に左右されないので希望の星とも言えるんですよ!
えっ、そうなの?でもコロナとガチャガチャって全然関係なさそうだけど……。
ショッピングモールの空きテナントにガチャガチャコーナーが入っていたりガチャガチャ専門店が増えていたりしているそうですよ。また従来のスタイルにとらわれない進化したガチャガチャも登場していて、最近はガチャガチャ第4次ブームなんて言われています。
なんでそんなに詳しいんだ……。もっと詳しく教えてほしいぞう。
そんな先輩のために、今回はガチャガチャの歴史について日本で最も詳しい、日本ガチャガチャ協会の小野尾勝彦さんを呼びましたよ!小野尾さんはいま話題になっている、イオンファンタジーさんとオフィスグリコさんがコラボした「office glico ミニかえる貯金箱」かぷえぼ限定カプセルトイの仕掛け人でもあります。ガチャガチャのブームの歴史や近況、企業プロモーションコラボの事例についてじっくり解説してもらいましょう!
毎回毎回、プレミさんは準備がよすぎる……。
コロナ禍でも大ブーム!ガチャガチャの近況
小野尾勝彦さんは株式会社築地ファクトリー代表取締役社長で、日本ガチャガチャ協会の会長をつとめている、日本におけるガチャガチャの「伝道師」。ガチャガチャビジネスを生業にして28年という重鎮です。NOVEZOでは以前もお世話になりました。小野尾さん、今日もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
早速なんですが、小野尾さん!ガチャガチャは今、第4次ブームを迎えていると聞いたんですけど、そんなにブームになっているんですか?
まずは第1次ブームから簡単に説明しますね。日本におけるガチャガチャは、1965年2月にペニイ商会という小さなガチャメーカーから始まりました。その後、大手のバンダイが1977年に100円のガチャガチャをスタートさせ、1983年にキン肉マン消しゴムを大ヒットさせたのが第1次ブームです。
平成生まれでも「キン肉マン消しゴム」の存在は知ってます!日本中の子どもたちがこぞって買ったんですよね。
その後、1995年にはユージンという会社が1台に2つのボックスが連なるマシーン「スリムボーイ」を開発。その頃に200円のガチャガチャも登場し、大人向けの企画も出てきて人気を博していきました。当時はお宝フィギュアブームに加えて、パソコンユーザーが増えてブログで自分のコレクションを紹介する動きが活発化して第2次ガチャブームになったんです。
ガチャガチャって価格が安いから集めやすいぞう。それでは第3次ブームは?
二人は「コップのフチ子」って知ってるかな?
知ってます!OLのフチ子さんが、いろいろな姿勢でコップにぶら下がるやつですよね!
そう。2012年に「コップのフチ子」が出たときが第3次ブーム。2012年は多くの人がスマホを持つようになった“スマホ元年”でした。大人の女性がフチ子の写真をSNSに投稿し始めて大ブームになりました。フチ子はメディアにもかなり取り上げられて、2000万個ほど売れたんだよ。
2000万個!? 単純計算で日本人の6人に1人が買ったことになる……。
単純すぎますね(笑)。でもそんなに売れるなんてガチャガチャの力って本当にすごいな。そして今が第4次ブームなんですよね?
今は第4次ブームの変遷期とも言えると思います。コロナ禍では撤退するお店が増えた一方で、その空いたテナントにはガチャガチャスペースがどんどん参入しています。空きテナントに素早く入れることができて、お客さんが喜んでくれるコンテンツのため、ガチャガチャの設置店や専門店もかなり増えました。また大ヒットアニメなどのコンテンツの影響やオリジナル商品の人気、メーカーの多様化などさまざまな要因も重なって今の第4次ブームに至っています。
今はさまざまな業界が苦境に陥っていますが、ガチャガチャは不況にも強いということなんですね。
そもそもガチャガチャは価格帯が少額なのにクオリティが高いので、不況でも顧客満足感が高い特徴があります。「大金を使わずに気軽に遊びたい」「人と接触せずに安全に遊びたい」という幅広い年代の方の希望を叶えてくれるのがガチャガチャなんですよね。
※ガチャガチャの歴史については小野尾さんのホームページに詳しく書かれているのと、過去にNOVEZOでも取り上げているので、ぜひご覧ください。
ガチャガチャ・ガチャポンラボ
なぜ活況?ガチャガチャを取り入れた企業プロモーション
こうして歴史を辿ってみると面白い!ガチャガチャってその時代と密接にリンクしているんだなあ。
スマホが登場してからはその傾向が顕著です。ガチャガチャはSNSやメディアとの相性が非常によく、話題になりやすい。人はいらないけれども発信力が強いので、お金をかけずに集客できる可能性を秘めています。
コアなファンの方が「こんな面白いグッズをゲットしたよ!」と写真付きでSNSに投稿すると、一気に広がって話題になりますよね。
そしてその話題がウェブやテレビなどのメディアに取り上げられるんです。ほぼ同じネタなのに「これは面白い!」とずっとメディアが取り上げてくれる。SNSの発信によって消費者を巻き込んだ大きなエンタメにできるという仕組みがここまで作りやすいのはガチャガチャの他にありません。
知っているものや馴染みのあるものがカプセルトイという小さな箱に入ってミニチュア化される嬉しさもありますもんね。
そうなんです。そうした背景から今では企業コラボもかなり盛り上がっていて、私のところにもいろいろな企業さんからお話をいただきますよ。
どのような企業とのコラボがあるんですか?
今日は企業コラボグッズをいろいろと持ってきました!
うわ~!全部見たことがあるし、全部可愛い!
たとえばNTTさんだと、現代の子どもが公衆電話を知らない状況を受け「公衆電話の掛け方を疑似体験してもらい、災害時に公衆電話を利用できるように」ということで公衆電話のガチャガチャを作りました。これは実際に受話器を取ればフックが上下し、ダイヤルボタンの操作も可能です。
ものすごく精巧な作りですね。本物そっくり!
郵便局のポストやキッコーマンさんの豆乳、さらには便所サンダルやパスコのパンなども作りました。先ほども言いましたが、ガチャガチャはSNSで発信すると普通に広告を出すよりもバズってブランドが一人歩きしてくれます。その認知効果を理解しているので、ガチャガチャを広告の一部として考える企業も増えてきました。
ガチャガチャが老若男女幅広い年齢層にウケるからこそ、今まで自社商品を知らなかった層にも知ってもらえる絶好の機会になるぞう。
最近では伊藤園さんから、若い世代にお茶を飲んでほしいということで「お~いお茶」をガチャガチャにできないかというお話がきて現在企画中です。
わ、「お~いお茶」がゆるキャラみたいになってる~!
小野尾さんは「ガチャガチャで何かできないか?」という企業からの相談に乗って、いろいろな面白い企画を実施されていますよね。今回は、「かぷえぼ」という完全キャッシュレスのオリジナルガチャガチャを作っているイオンファンタジーさんとオフィスグリコさんを繋げたとか。
もともとはイオンファンタジーさんから「かぷえぼの中に入れる商品を探しているんですが、何か面白い企画はありませんか?」と相談を受けたことがきっかけです。そこからオフィスグリコさんに承諾をもらって企画を繋いでいきました。実はこの「かぷえぼ」のようなキャッシュレスのガチャガチャによって、ガチャガチャの幅が広がり今後の第5次ブームは起きる気がしています。
ガチャガチャにはまだまだブームが起きる可能性があるんですか!?
可能性は無限大ですからね。販促やブランディングのやり方もアイデア次第でいくらでもあると思うので、企業の販促担当者の方はぜひガチャガチャで販促を考えてみてほしいです。
この人、まだまだいろんな面白い仕掛けをするつもりだ……。これからどんなガチャガチャが出てくるのか、消費者としては楽しみな限りです!
どうもありがとうございました!
イオンファンタジーの最新カプセルトイマシン「かぷえぼ」って?
ねえ、プレミさん。さっき小野尾さんが言っていたイオンファンタジーさんのキャッシュレスのガチャガチャ「かぷえぼ」ってやつがすごく気になっているんだけど……。コインを入れずに回せるガチャガチャってこと!?ハンドルはあるの⁉
まあまあ落ち着いて。センパイもすっかりガチャガチャに興味が出てきましたね!
興味津々だぞう!
ということで、次にイオンファンタジーの阪本さんと山本さんをお呼びしました!センパイが聞きたいことをお二人にいろいろとぶつけてみましょう!
わ、やったー!詳しく聞きたい!お二人、よろしくお願いします。
株式会社イオンファンタジー 商品本部プライズグループ ガチャ マネジャーの阪本です。
同じく株式会社イオンファンタジー 広報・IR室の山本です。よろしくお願いします。
早速なんですが、山本さん!イオンファンタジーさんが手掛けている「かぷえぼ」ってどんなガチャガチャなんですか?
抗菌シート施工のタッチパネルを操作して、キャッシュレス決済をするとカプセルトイが出てくる当社オリジナルの「回さない」カプセルトイマシンです。決済方法はWAONや交通系IC、バーコード決済など幅広く対応しており、中に入っている商品はすべて当社オリジナル商品です。
財布を持ち歩かなくてもスマホがあればガチャガチャができる時代!気軽に立ち寄って遊べますね。
また抗菌シート施工のタッチパネルを操作すると画面に映し出されたハンドルが動き、「ガチャン」と回る音がしてカプセルトイが出てくるようになっています。ハンドルの接触が不安な方でも、安全に安心して遊ぶことができます。
デジタルサイネージによる商品アピールで見た人の目と足が止まる!
昔ながらのガチャガチャ好きからすると、あのハンドルを回す楽しさは代えがたいんだよなあ。
一応ハンドルは残しているので、回すこともできますよ!でもカプセルトイをゲットした時の盤面がサイネージになる演出や画面上に動画として動く面白さなど、目を楽しませる演出が盛りだくさんなので、その楽しさは昔ながらのガチャガチャにはない魅力だと思います。実際にSNSなどの反応を見ていると、「ハンドルを触るのが不安だったからこういうマシーンを待っていた!」というお声もいただいているので、安全に安心して遊びたい消費者ニーズに合っていると実感しています。
通常のガチャガチャだけでも思わず立ち寄ってしまうのに、画面が動くガチャガチャなんてすごく楽しそう!
1回終わると画面に「もう1回やりますか?」と出てくるので、コレクターの方のグッズを全部集めたいニーズも叶いますし、時間短縮にもなるので続けて遊んでもらいやすい仕掛けになっています。またデジタルサイネージで商品アピールができるのもポイントです。動画は静止画よりもアイキャッチの力が強いので、かぷえぼの画面が目に入ったら思わず足を止めて店舗に入るお客さまは多いです。これは今までのガチャガチャでは表現できない強みや面白さだと思います。
その他にも「かぷえぼ」の特徴はありますか?
当社はファミリー向けアミューズメント「モーリーファンタジー」を展開しているんですが、そこで一番人気のプライズゲームや、当社のカプセルトイスポット「TOYS SPOT PALO」と連動して限定のカプセルトイがゲットできます。昔からプライズゲームではオリジナルのプライズゲーム用景品の開発に力を入れてきましたが、プライズと同じキャラクターやブランドなどとのコラボ企画でカプセルトイを同時に出せるようにしました。
ガチャガチャで欲しい商品をゲットしたら、プライズでもゲットしたくなるぞう!
かぷえぼは全国423店舗※へ展開しているので、日本中で話題になる可能性もありますね。※2021年4月23日時点。
プライズで培ってきたノウハウをガチャガチャにも活かし、オリジナルカプセルトイの開発や運営に取り入れ、トータルでお客さまに喜んでいただけるようにと考えています。
それでは最後に阪本さん、NOVEZOを見ている販促担当者の方にメッセージをお願いします!
「かぷえぼ」は価格設定も自由なので、より柔軟に「新しい企画商品」をお客さまに展開できます。お客さまが親しみを持たれているブランドはたくさんあるので、それらがカプセルトイになる面白さを感じてもらえるように、いろいろな企業さまと一緒に開発できれば嬉しいです。カプセルに入るトイにこだわらず、今までの形にとらわれない幅広い体験価値をお客さまに提供できる「かぷえぼ」に期待して頂きたいと思います。
形にとられない体験価値ってなに!?気になる~!
それは今度のお楽しみですね。阪本さん、山本さん、ありがとうございました!
ガチャガチャって時代とともにどんどん進化してるし、常にファンを楽しませていてすごいな~。早く帰って、ショッピングモールのガチャガチャで遊びたい。
センパイ、なに帰ろうとしているんですか。イオンファンタジーさんの「かぷえぼ」を使ったオフィスグリコさんとのコラボ企画のことを、全然聞けなかったじゃないですか!
わ!そうだった!!
ということで次回は、オフィスグリコの担当者さんである今井さんにがっつり話を聞いちゃいますよ~!今井さんよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
続編記事もお楽しみに!
後編はこちら↓
今回NOVEZOでは、かぷえぼでPRしたい企業を募集しています。
自社にこんなアイテムがあるんだけど…というご相談からでも大歓迎です!
↓
お問い合わせはこちら
取材先:小野尾 勝彦さん
株式会社築地ファクトリー代表取締役社長
ガチャガチャビジネスを生業にして28年。日本におけるガチャガチャの「伝道師」と呼ばれ、日本ガチャガチャ協会の会長をつとめている。
- ガチャガチャ・ガチャポンラボ:https://japangachagachalab1965.com/
取材先:阪本 絢さん
株式会社イオンファンタジー
商品本部 プライズグループ ガチャ マネジャー
カプセルトイの販売企画やオリジナルカプセルトイ企画を担当。
好きなカプセルトイは動物系。
- カプセルトイ専門店TOYS SPOT PALO:https://www.fantasy.co.jp/toysspotpalo/
取材先:山本 薫さん
株式会社イオンファンタジー
広報・IR室
WEBサイトの企画や広報を担当。
お気に入りの自社カプセルトイは「SUIMIN運ぶねこ-お寿司-」フェイスポーチ。
- 株式会社イオンファンタジー:https://www.fantasy.co.jp/
- 企画・編集・撮影:
- NOVEZO編集部
- ライティング:
- 角やえこ