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ノベルティ・グッズ制作に役立つ!成形技術の基礎知識【モノづくり事典】

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「当店だけのオリジナルグッズで販促したい!」
「既製品では実現できない、使いやすいノベルティを配りたい。」
・・・そんな方が検討したいのが、樹脂素材を成形して制作するノベルティやグッズです。
本記事では、製造・生産技術を学べるモノづくり事典と題して、「ノベルティ・グッズ制作に役立つ成形の基礎知識」を紹介します。

成形(成型)とは?

プラスチックなどの樹脂・陶磁器・ガラスなどの素材に対し、ある一定の形づけをすることを「成形」と言います。一般的には、素材の中でも、樹脂素材で立体物を作ることを成形と呼ぶ場合がほとんどです。
ノベルティグッズ制作の観点からは、成形して制作するグッズは、他のグッズと比べ、品質管理および生産・スケジュール管理の難易度が高いと言われています。

一方、樹脂素材を成形したノベルティグッズは、丈夫で長く使えることに加え、オリジナリティが発揮できるため、ここぞという販促企画で投入したいところです。
成形には、材質や用途別に様々な工法があります。それぞれの工法の特性を把握して、トラブルを未然に防ぎたいものです。

樹脂素材の成形で制作したノベルティグッズの例

協会に対して個人で協賛した人への返礼品として、特製のコンパクトミラーを制作したのが「東京都パワーリフティング協会」。

個人協賛の返礼品に「プレートコンパクトミラー」/大王製作所
Copyright © DAIO Co., Ltd. All Rights Reserved.

個人単位で協賛者になる人は、パワーリフティングに精通している人が多く、競技に詳しい人だからこそ喜んでもらえる面白いものを作りたかったとのこと。
大会で使用されているバーベルプレートを模したオリジナリティ溢れるコンパクトミラーは、光沢を付けるなど彩色にも工夫を凝らしており、こだわりの一品に仕上がっています。

樹脂の種類は大きく分けて2つ

成形と言っても、材料として使われる樹脂(プラスチック)は様々です。
そして、それらの樹脂は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とに大別できます。

熱可塑性樹脂

成形後に加熱すると変形する樹脂を「熱可塑性樹脂」と言います。
加熱で変形した樹脂を再び冷やすと、固く硬化することが大きな特徴です。
また、熱可塑性樹脂は、温度によって液状と固体の状態の間を行き来することができるため、リサイクルが可能です。
熱可塑性樹脂の例:PE(ポリエチレン)・PP(ポリプロピレン)・ABS(ABS樹脂)など

熱硬化性樹脂

成形後に加熱しても変形しない樹脂を「熱硬化性樹脂」と言います。
熱硬化性樹脂は、一度生成されたら、再び熱しても液状になりません。
すなわち、温度変化による影響を受けにくいため、機械的強度と耐熱性に優れるという特長があります。
熱硬化性樹脂の例:シリコン樹脂・メラミン樹脂など

ノベルティでよく使われる樹脂と用途の例

成形して作成するノベルティ・グッズで使われる素材は様々です。
中でも、これまでも多くのグッズで使われてきたABS(ABS樹脂)について、詳しく説明します。

ABS樹脂は、A (アクリロニトリル)・B (ブタジエン)・S (スチレン) の3種類の成分を組み合わせた樹脂です。
よって、これらの3つの成分の長所を合わせ持っていることから、加工性や硬度、耐衝撃性にも優れています。
光沢があり見た目にも美しい外観を持つだけでなく、着色も可能。さらには難燃化や繊維強化もできることから、最もバランスの良い素材のひとつとされています。

ABS樹脂は汎用性が非常に高いため、ゲーム機・OA機器・電機製品など身の回りの様々なものに用いられています。
なお、外観は完全な透明ではなく、薄い黄色(または肌色かアイボリー)です。
ABS樹脂を利用したノベルティグッズの例には、次のようなオリジナル「マルチスタンド」があります。

ABS樹脂を利用したノベルティグッズの例

西武ライオンズがイベント期間中の来場特典として制作したのが、ハンド扇風機です。

このハンド扇風機は、西武ドームの形をしていて、ファン心をくすぐるオリジナルデザインのハンディファンになっています。
自宅や会社の机などに置いて使うのはもちろん、首から掛ける、持つ、置くの3WAYに対応しており、応援の際に両手がふさがっていても使用できるなど、さまざまな使い方ができます。
このように、自由な形状が可能なうえ、強度、メカなどを内蔵する製品に向いているABS樹脂は、汎用性があり、多くの成形品の素材に使われています。

なお、この「ドーム風ハンド扇風機」は、西武ライオンズが夏期に開催しているの「ライオンズフェスティバルズ」の来場者全員に配布するグッズとして制作されました。

成形方法のさまざまな種類

樹脂を成形する方法には、射出成形(インジェクション成形)・ブロー成形(中空成形)・ローテーション成形・注型成形・真空成形(バキューム成形)など、様々な種類があります。
いずれの成形方法でも、樹脂を加熱して溶かしたものを、金型など所定の形に流し込み、冷やして固めた後、取り出すというのが、基本的な原理です。
成形方法は、グッズの形状や樹脂の種類、樹脂特性やコストに合わせて最適な方法を選択します。

ここでは、樹脂の様々な成形方法のうち、ノベルティグッズで良く使われる「射出成形」について説明します。

射出成形で制作したグッズの例「ミニルームキーホルダー」/佐久間産業
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「射出成形」とは?複雑な形状でも容易に大量生産

射出成形は、樹脂などの素材を加工するために広く導入されている成形方法です。

射出成形の概要

素材を加熱して溶かし、金型に送り込んだ後、冷やすことで成形します。複雑な形状の製品を大量かつ素早く生産できることが射出成形の大きな特長です。

射出成形の流れ

1. 金型を挟み込む(金型と金型の間に、制作するグッズの形状をした空間を作ります)
2. 素材を熱で溶かして金型内に流し込む(射出)
3. 冷却して固化してから金型を取り除く
4. 着色などを経てグッズ完成

成形によるグッズ制作で気をつけたいポイント

樹脂素材を成形してノベルティグッズ制作したい場合に、注意すべき点があります。
射出成形でグッズを制作するときのフローも含めて、気をつけたいポイントを紹介します。

成形によりグッズを制作するときのフロー

射出成形の工場でオリジナルグッズを制作する場合、企画から量産までの工程と制作フローは次の通りです。

成形によりグッズを制作するときの一般的な流れ

成形方法によって異なるものの、樹脂素材の成形では、原型や金型の作成が必要になるため、グッズ量産の前段階で時間がかかります。

◯原型の作成

設計図をもとにグッズの原型を制作します。
この原型は仕上がりの確認用で、柔らかく形状の修正が容易にできる「クレイ」などで作られます。
最初の原型が完成するまでに要する日数は、1週間~10日間ほどです。その後、原型の確認と修正を繰り返して仕上がりの状態を決定します。

◯金型の作成

次の工程が、金属でできた型である「金型」の作成です。
この金型に、溶かした樹脂素材を流し込んで成形。グッズを量産します。
射出成形の場合、金型の作成にかかる時間は1か月程度です。
金型が完成したら、実際に金型でグッズの完成品を制作する試打(トライショット)を行って、金型のチェックと修正を行います。

◯量産

金型の不具合が解消されたら、実際のグッズの量産に入ります。

成形の制作フローにおける注意点

成形でオリジナルグッズを制作する場合、特に注意したい点が3点あります。

◯十分な制作期間が必要

実際のグッズ量産の前に、原型の作成から金型の修正まで、最低でも60日以上の準備期間が必要になります。
グッズの配布開始日から逆算して、十分な期間を確保して全体スケジュールを作成しましょう。

◯工程数が多いためチェックポイントが多い

成形によるグッズ制作は、多数の工程を経て行うために、販促担当者による確認・チェックを要する場面が多々あります。
特に重要なのが、次の3つのチェックポイントです。
原型のチェック:原型の校正を行います。原型の最終確認後は、サイズや形状を変更できません。
試打(トライショット)品のチェック:金型が完成したあとの試打で制作したグッズを確認します。
最終試打品のチェック:量産に入る前の最終確認です。

金型の作成には高額な費用がかかるため、金型の製作工程に進んでしまった後には変更ができません。
試打(トライショット)品のチェックは、次に説明するような量産で起こりうる欠陥や不良をチェックするための工程です。
着色も含めて外観やサイズは、原型のチェックでしっかりと確認しておきましょう。

成形で起こりやすい欠陥・不良の例

樹脂成形では、材料や成形方法によって陥りやすい欠陥・不良が決まっています。欠陥・不良には発生する理由が必ずあるため、起こりやすい欠陥に関する知識を身に着けておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

例えば、成形品上の分割線(パーティングライン)から樹脂がはみ出す「バリ」は、樹脂成形で頻発する不良のひとつです。
「バリ」の発生原因は、金型の合わせ目の精度不足や樹脂の射出量が多すぎることなどです。

まとめ

ノベルティ・グッズ制作に役立つ成形の基礎知識を紹介してきました。

NOVEZOは、ノベルティグッズに特化して成形技術を解説したホワイトペーパー、「モノづくり辞典 ノベルティに役立つ基礎知識(成形編)」を無料公開しています。
奥深い成形技術の世界について詳しく解説したホワイトペーパーを、本記事の下に設置したバナーからダウンロードし、ぜひご一読ください。

また、ノベルティやグッズを作りたいけど、成形物を作ったことがない・自信がない方はこちらからご相談ください。

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企画・編集:
NOVEZO編集部
ライティング:
コンドウマリ

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