世界が抱える問題を解決するための国際的な目標「SDGs」を企業のブランディングに活用する動きが活発化しています。
SDGsとブランディング戦略の関係に加え、販促やノベルティに取り入れたいエコ素材や、SDGsの取り組みを支援できるグッズのアイデアまで一挙紹介します。
SDGsとブランディングの関係は?
「SDGsを企業ブランディングに活用する」とはどのような意味なのでしょうか?
知っていそうで知らないSDGsの基礎も解説します。
そもそもSDGsとは
“持続可能な開発目標“という意味である、「SDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals)」。
SDGsとは、世界が抱える問題を解決し、持続可能な社会をつくるために国連加盟193カ国が合意した目標です。
そして、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsには、期間と期限が設定されており、15年間の活動期間を経て2030年が達成期限になっています。
具体的には、貧困や不平等・気候変動・環境劣化など、世界が直面している諸問題に対し、17のテーマが掲げられています。
ブランディング戦略に活かすSDGs
企業がブランディングを行う目的は収益の拡大ですが、近年ではブランディングに社会的な意義が求められるようになっています。
理由は、利益を追求するだけの企業に対して、消費者・顧客が違和感を抱くようになったためです。
実際、株式会社電通による全国の10代~70 代の男女を対象とした「SDGs に関する生活者調査」によると、SDGsの認知度は14.8%と、よく知られているとは言い難いものの、SDGsの17のテーマを提示した上での共感度は73.1%でした。
ブランディング戦略にSDGsを取り入れることで、企業に対する顧客のイメージアップが期待できます。
創業から現在の事業計画までの一貫性で成功した「ネスレ」
持続可能な社会をつくるという精神を経営に取り入れ、ブランディングに成功している企業のひとつが、世界最大級の食品飲料会社「ネスレ」です。
“粉ミルクで赤ちゃんを救う”という想いから創業したこの企業。1866年の創業から150年以上経った今、ネスレが掲げる長期目標の一部が次のようなものです。
- 5,000万人の子どもたちがさらに健康な生活を送れるように支援
- 地球のために、ネスレの事業活動における環境負荷ゼロを目指す
創業時の精神から全くぶれのない目標や想いが、ネスレが名実ともに「共通価値を創造する」企業としてのブランドを確固たるものにしています。
このように、SDGsをブランディング戦略に活かそうとするとき、重要なのは一貫性のある企業ストーリーであることを忘れてはいけません。
こんなにある!ノベルティに使えるエコ素材
企業規模に関わらず、販促などで使うノベルティにエコ素材を取り入れるという方法で、SDGsに貢献することができます。
また、ノベルティという形で取り入れやすいSDGsのテーマは、次の4つです。
- 目標12: つくる責任つかう責任
- 持続可能な消費と生産のパターンを確保する
- 目標13: 気候変動に具体的な対策を
- 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
- 目標14: 海の豊かさを守ろう
- 海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
- 目標15: 陸の豊かさを守ろう
- 陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
オーガニックコットン
オーガニックコットンは次のような厳格な基準を満たしながら育てられた綿花のことです。
- 認証機関に認められた農地で栽培
- 農薬・肥料は厳格な基準を守って使用
さらに、オーガニックコットン製品になるまでの紡績・染色・縫製などの製造工程においても、次のような基準を満たしている必要があります。
- 健康や環境への負荷となる化学薬品の使用を最小限に抑制
- 安全な労働環境や児童労働の禁止など、社会的規範を遵守
ノベルティの例:タオル・コットンバッグ
リサイクルポリエステル
使用済みのプラスチックボトルなどから再生した繊維がリサイクルポリエステルです。
石油から新しいポリエステルを製造する代わりに、ペットボトルなどのプラスチック廃棄物から抽出したPETをリサイクルします。
石油から新規製造したポリエステルに比べ、リサイクルポリエステルを使用することで、環境への負荷が20%~60%削減するとされています。
ノベルティの例:エコバッグ・Tシャツ・ニット・フリース
リサイクルウール
工場で余った毛糸や不要になったウール衣類を回収し、機械で細断した後、再び新しい毛糸として紡ぎ直したウールが「リサイクルウール」です。
ほとんど知られていませんが、生地素材の製造過程で排出する、二酸化炭素排出量を比較すると、ウールは他の素材を抑えて第一位となっています。
よって、ウールのリサイクルはエネルギーの消費の削減に大きく寄与するものなのです。
ノベルティの例:靴下・ネックウォーマー
リサイクルコットン
紡績工場や縫製工場で廃棄される綿の裁断くずや不均一な糸を原料とした生地がリサイクルコットン。
従来のコットンをリサイクルコットンへ移行した場合、CO2排出量削減量は70%ほどと言われています。
ノベルティの例:バッグ・Tシャツ・エプロン
リネン
リネンは、寒冷地で採れる”フラックス”という原料からできる天然繊維。
フラックスは、日光と雨さえあれば水やりをしなくても育つ上、繊維や種・根まで使えるため無駄がありません。
そして、水に濡れると強度が増すという性質により、洗濯しても傷みにくく、長持ちすることもリネンの特長です。
ノベルティの例:巾着・トートバッグ・パジャマ
テンセル™繊維
天然繊維でも化学繊維でもなく”再生繊維”に分類される「テンセル繊維」。
テンセルは、化学繊維のように人工的に製造されているものの、木材を原料とし、かつ再生・再利用可能な繊維のため再生繊維と呼ばれています。
ノベルティの例:タオル・ハンカチ
アニマルフリー素材
毛皮、皮、羽毛など動物性素材を一切使わないことを「アニマルフリー」と言います。
そして、代表的なアニマルフリー素材が、エコファー・自然素材のコットン・ベジタリアンレザーなどです。
近年では、有名なファッションブランドも、こぞってアニマルフリー素材をデザインに用いるようになっています。
ノベルティの例:コースター・バッグ・ミラー
サステナブルペーパー(バナナペーパー)
通常は廃棄するオーガニックバナナの茎から取った”バナナ繊維”を原料とした紙「バナナペーパー」。
世界で日常的に使用されている紙の約90%は、木を主原料としていますが、一般の木が再生するのに、10~30年かかるため、木の再生が追いつかず森林面積が減少を続けています。
一方、バナナの茎は、切っても1年以内に再生するため、サステナブルな仕組みの中で紙を作り続けることができることから、バナナペーパーが注目されています。
ノベルティの例:カレンダー・ノート・ボールペン
バンブーファイバー
「バンブーファイバー」は、自生している竹を原料とする自然素材。
燃やしてもダイオキシンが発生せず、製造工程において二酸化炭素の排出量が非常に少ない地球環境にやさしい素材であることが、バンブーファイバーの特長です。
また、軽量ながら強度があるため、プラスチックに代わる素材として注目を集めています。
ノベルティの例:マグカップ・食器
ストーンペーパー
「ストーンペーパー」は、石灰石を主原料とした新素材で、紙の代用品としても使用できるものです。
一般的なバージンパルプ紙1トンをストーンペーパー1トンに代替した場合、20本の樹木伐採、約100トンの用水・排水が削減します。
ノベルティの例:カレンダー・メモ帳・コースター・ランチョンマット・付箋
LIMEX
「LIMEX(ライメックス)」は、炭酸カルシウムなど無機質を50%以上含む複合材料。
紙・プラスチックの代替として活用できます。
特徴的なのは、LIMEX製品の製造方法です。製造に専用の設備が不要で、既存の機械や製造方法を活用してLIMEX製品を成形できます。
ノベルティの例:ボールペン・マスクケース・クリアファイル・リユースバッグ
ゴムの木・ラバーウッド
ゴムの木から樹液を採取し、樹液は天然ゴムの材料として、樹液を採取し終わった木はラバーウッドとして家具などに利用されます。
ゴムの木は成長が早く、安定した供給が可能なことから非常にエコな素材です。
ノベルティの例:カレンダー・スマホスタンド・フォトフレーム
間伐材
人の手で植えられた人工林において、樹木が成長したときに、一定の間隔で伐採して間引き、森林の中まで十分に光が届くようにする作業「間伐」。
間伐によって伐採された木材が「間伐材」です。
間伐作業自体はエコな取り組みではありませんが、作業後に木材を廃棄してしまうよりは遥かに良いということで、間伐材の活用が進んでいます。
ノベルティの例:木製うちわ、コースター、スマホスタンド、木製カレンダー
エコ素材以外でもSDGsに貢献できる
エコ素材を使用するという方法以外にも、ノベルティでSDGsに貢献できるアイデアがあります。
例えば、目標のうち次の3つはSDGsとブランディングという観点で、取り入れやすいでしょう。
- 目標3:すべての人に健康と福祉を
- あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
- 目標7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
- 目標11:住み続けられるまちづくりを
- 都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする
運動促進で人々に健康と福祉を
ウォーキングなど、適度な運動を促進することでもSDGsに貢献できます。
例えば、夜のジョギングの安全を守るアームリフレクターや、ミニ歩数計などはノベルティグッズとして取り入れやすいでしょう。
エネルギーをみんなに&クリーンに
太陽光でスマートフォンを充電するソーラー充電池など、クリーンエネルギーを利用したノベルティグッズで、エネルギー問題の認知拡大に貢献できます。
また、CO2排出権取得対象商品をノベルティとして活用するのも良いアイデアです。
地球温暖化対策として、日本にも温室効果ガス(CO2など)の6%削減が求められているのが事実。
その取り組みを促進するための手法のひとつが、CO2排出権の取得です。
具体的には、まず、CO2排出権購入費の一部を企業が負担します。そして、CO2排出権付きの商品が購入された数量に応じて、CO2排出権が日本政府に無償譲渡されるという仕組みです。
ノベルティグッズにCO2排出権取得対象商品であることを明記することで、環境問題に取り組む企業としての認知度が高まります。
エコグッズでゴミを出さない&持ち帰る
大手コーヒーチェーン「スターバックス」が、2020年までに全店舗でプラスチック製ストローを廃止すると発表。
プラスチックごみによる海洋汚染を背景に、使い捨てのプラスチック製ストローを一掃しようという動きが活発化しています。
このような動きから、携帯式のマイストローをノベルティとして提供し、ゴミを出さない活動を行う企業であることを示すアイデアも検討の余地ありです。
また、ビニール袋をさっと引っ張り出せる携帯用ゴミ袋というノベルティで、外出先で出したゴミは持ち帰るという活動を支援できます。
まとめ
社会活動に取り組む姿勢も企業ブランドの一部として重視されつつあります。
販促活動に利用するノベルティでも取り入れやすい、エコ素材やグッズなども豊富です。
アイデア次第で、”顧客の役に立つ・企業ブランディングにも役立つ・社会貢献活動にもなる”と三拍子揃ったノベルティを見つけられそうですね。
この他、エコ素材はもちろん、さまざまなSDGsに対応したノベルティについてご相談したい方は以下からお問い合わせください。
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- NOVEZO編集部
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- コンドウマリ