「ノベルティ」は英語。どんな意味がある?
ノベルティというと、一般的には無料で配布される販促品を意味しますが、そもそもの意味は何なのでしょうか?
ノベルティは英語で、綴りは「novelty」。
発音は【nɑ́vəlti】で前にアクセントがあります。Weblio英和辞書によれば、意味は「珍しさ、目新しさ、新しい物、(おもちゃ・装飾品などで)目先の変わった小物の商品」などです。
私たちが日頃使っている、販促品としての「ノベルティ」の意味は「(おもちゃ・装飾品などで)目先の変わった小物の商品」を指しますが、英単語の「novelty」は「目新しいもの」を意味するので、常用している「ノベルティ」は一種の和製英語です。
英語でノベルティを表現するなら「promotional(宣伝用の)」「merchandise(マーチャンダイズ・商品)」といった単語を活用して「promotional goods」「free merchandise」などと言うでしょう。
語源をたどると、ラテン語の「nov=新しい」から派生したようです。名詞形として「novelty」が誕生しました。
では「ノベルティ」とはどういうもの?
ノベルティとは、サービスや商品宣伝のために無料配布するグッズのことで、販促力を高めるツールとして活用できます。魅力的なノベルティだと、ノベルティを目的に商品を買う人すらいます。
とはいえどんなノベルティでも販促効果が出るわけではありません。まず「ノベルティをなんのためにつけるのか」という目的を決める必要があります。売り上げアップなのか、認知度アップなのか、ブランディングなのかによって、適したノベルティが変わります。
目的と合わせてターゲットも明確にしましょう。まず、新規顧客か既存顧客か。新規顧客がターゲットなら話題性の高いノベルティが、既存顧客がターゲットならユーザーの満足度を高めるノベルティがいいでしょう。
ターゲットが何を求めているか、深層心理や無意識のインサイトまで深掘りして考えるのもポイントです。ターゲットがニーズを捉えたノベルティを作れば、訴求力が一気に高まり大きな販促効果を発揮するでしょう。
今のトレンドは体験を豊かにするノベルティです。モノとしての付加価値ではなく、体験が豊かになるコトとしての付加価値をプラスするとヒットを生み出しやすくなります。受け取った消費者が自分の体験を豊かにし、商品・サービスへの愛を深めてファンになるきっかけを作れるでしょう。
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ノベルティの歴史
ノベルティの歴史はとても古く、古代ギリシアで商売人がおまけとして多めに渡していた食べ物が最古のノベルティだと言われています。ノベルティ専用のグッズを作っていたわけではありませんが、販売促進のために物品を無料で渡していたという点においては最初のノベルティだと言えるでしょう。
日本初のノベルティと言われているのは、1643年に江戸時代の豪商・越後屋が購入者に無料で渡していた「引き札」です。引き札とは浮世絵や美人画のことで、子ども向けの駄菓子についているカードやシールのような存在です。カードやシールを目的に駄菓子を買う子どもがいるように、当時も引き札目当てに商品を購入する人が多くいたそうです。
引き札は掛け売りの商売から現金商売に切り替えるための宣伝としても活用されていました。また、引き札にはお店の名前や所品の名前が印刷されていて、さらなる集客効果を発揮するケースもありました。
また、全国を回って置き薬を販売していた富山の薬売りは、購入者へのおまけとして紙風船などのおもちゃをプレゼントしていたそうです。現代のように簡単におもちゃが手に入らない時代なので、こうして折り紙で作ったおもちゃも喜ばれました。
ノベルティとプレミアムの違い
ノベルティグッズは企業が自社ブランドのPRや認知度向上を目的として、不特定多数に対して無料で配るアイテムです。無料で多くの人に配布するので新規顧客獲得に効果的ですが、うっかりターゲットを間違えると単なるバラ撒きになってしまい、コストの無駄になります。配るべきターゲットにしっかり届け、さらに今後の利益につながる導線として機能させるのがポイントです。
それに対してプレミアムグッズは購入者への価値向上、リピート促進を目的として、購入者向けに配布する商品に付属したおまけです。理想的なプレミアムグッズは、商品が抱えている課題を解決したり、足りない要素を補ったりするもの。それによって商品力を高め、販促力が増します。たまたまついていたおまけではなく、プレミアムグッズ目当てで買いたくなるような魅力があると購入につながるのです。
ノベルティにしてもプレミアムグッズにしてもキャラクターグッズが人気ですが、有名なキャラクターとコラボしなくても顧客のニーズに沿ったノベルティグッズであればじゅうぶんに喜ばれます。顧客が商品の購入を検討している際にどんなことを求めているか、潜在的ニーズを分析してノベルティグッズを考案するといいでしょう。
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常に新しさを提供するコラボ・ノベルティ
英語の意味がわかったところで、販促品としての「ノベルティ」に「novelty(珍しさ、目新しさ)」をプラスして成功した事例をご紹介します。ノベルティは販促品ですから、人の興味関心を引きつけるのが使命。珍しさや目新しさはノベルティに欠かせない要素でもあるのです。
ノベルティで話題を集める鉄板の手法はコラボレーションです。特にキャラクターとコラボしたノベルティは、そのキャラクターのファンがこぞって欲しがる人気アイテムになります。キャラクターグッズを集めるコレクターも多く、SNSでも話題になりやすいのがメリット。コラボによってブランドの魅力を底上げしつつ、一気に認知度を高める起爆剤にもなります。
最近はアニメのキャラクターだけでなく、アイドル「AKB48グループ」を筆頭としたアイドルグループ、「君の名は。」などの人気映画、「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」などのゲームなど、知名度が高いコンテンツとのコラボがあちこちで広まっています。
コラボは話題を集めターゲットを定めやすい
数々のコンテンツとコラボしてきた「ビックリマンチョコ」は、1977年から発売されているロッテのチョコレート菓子。封入されているシールが大人気で、1980~1990年代に一大ブームを巻き起こしました。キャッチーなパッケージや魅力的なキャラクターはもちろん、シールのキラキラ感や質感が子どもたちの心を掴んだのです。
ただ、ヒット後は売り上げが伸び悩み、子どもたちからの人気は落ちていきました。購入するのは昔を懐かしむ30~40代の男性が中心になり、大人買いを楽しむ層がなんと9割以上を占めていたのです。
そこで復刻版を発売して再ヒットしたのですが、それも回数を重ねるごとに売り上げが下がっていき、「このままではいけない」と着手したのがコラボ企画。昔のファンだけでなく、10~20代の若い人々にも手に取ってもらえる商品を目指し、話題性を重視した企画を多数考案しました。現在では、アニメ「ワンピース」コラボによって10~20代の割合が8%から35%にまで増え、30~40代の比率は落ちたものの売り上げは堅調。大学生の認知度も格段に上がりました。
コラボを実現させるコツとは
では、人気コンテンツとのコラボはどうやって実現させるのでしょうか? 通常であれば広告代理店を挟んで交渉するケースがほとんどですが、「ビックリマン」の担当者はあえて広告代理店を挟まず、直接交渉したと言います。その理由は、「ビックリマン」のコンセプトである「人をビックリさせること」を主軸とした尖った企画をコラボ先に理解してもらい、熱意を伝えるため。間に会社が入れば入るほど企画はありきたりになってしまいがちです。
とはいえ、なかなかOKはもらえなかったそうです。少しずつ実績を積み重ねることで、名前が知られるようになり、横のつながりが生まれ、紹介によってコラボ交渉がスムーズに進むようになりました。紹介だと信頼されやすく、コラボのハードルがぐっと下がるのです。
AKB48グループとのコラボでは、直接交渉したことで人気メンバーがSNS上で告知するなど露出を増やし、ほかのグループからもコラボ依頼が舞い込んだとのこと。今後につながりそうなコラボを行うことも、ブランド力を高める手段です。
年齢層ごとにノベルティを使い分ける
ただ、コラボノベルティばかりに頼っていてもブランド本来の魅力が伸びません。ノベルティを継続して配布する場合、ターゲットを少しずつずらすことでファンの層が広がり、新しい魅力を訴求しやすくなります。メインターゲット向けの企画は大事ですが、そればかりだと顧客が固定化してしまい、なかなか新規顧客獲得につながらないものです。
顧客が高齢化している場合は、適宜若い世代を取り込む必要があります。その際は、従来型のノベルティグッズだけでなく、デジタルノベルティを提供するのも有効。最近メジャーなノベルティとして定着しつつあるのがLINEスタンプです。SNSメッセージアプリ「LINE」で利用できるオリジナルスタンプを配布し、消費者が日常的なコミュニケーションで商品やサービスに触れることで、認知度と親密度を高める効果が期待できます。
ミドル層を取り込みたいなら、「健康」がキーワード。体のケアに貢献するグッズは実用的で無駄にならず、健康意識が高い消費者から支持される傾向にあります。エクササイズバンドや湿布などのお役立ちグッズをノベルティにすれば印象に残しやすくなるでしょう。肩こりケアのグッズはミドル層ではなく社会人全般のニーズが高いので、年齢を気にせず老若男女に広くアプローチできます。
消費者の購買欲を刺激するノベルティを
ノベルティを通じて商品・サービスに付加価値をプラスし、新しい魅力を生み出すことも可能です。商品の使い方紹介もそのひとつ。ノベルティによって商品・サービスの新しい楽しみ方を提案するのもよいでしょう。
クッキーの「オレオ」は、売り上げが伸びるバレンタインシーズンに若い年代に向けて初心者向けのレシピ・常温で持ち歩けるレシピ・SNS映えするレシピなどを用意し、レシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」を活用してSNS上で動画配信しました。レシピ開発時に重視したのは、ありそうでなかった新しさ。オレオの新しい使い方を発信し、バレンタインのニーズにもしっかり応える内容にして販促につなげたのです。
このレシピや動画もひとつのノベルティですが、店頭ではレシピ動画にも登場する「オレオワックスペーパー」をノベルティとして展開。ネットとリアルの両方で一貫した販促を行い、昨対比で売り上げは120%に成長しました。
このように、ノベルティは使い方次第で新規顧客獲得にもリピーター創出にもつなげられます。常に新しい魅力を提供する販促施策として、ぜひ積極的に活用してみてくださいね。
- 企画・編集:
- NOVEZO編集部
- ライティング:
- 秋カヲリ