プレミさんは、子供の頃、駄菓子屋さんや遊園地とかでガチャガチャをしたことある?
もちろん、今でもたまにあります!
最近ではショッピングモールのエレベーター横や特設コーナーにも設置してますよね。
え?
でも、ガチャガチャといえば、子供向けのおもちゃがメインだよね?
今は精巧なミニチュアグッズや動物のフィギュアなど、大人のコレクター心をくすぐるアイテムが増え、ガチャガチャコーナーは子どもだけでなく老若男女に大人気なんですよ。
センパイ知らないんですか?
(ぎくっ)えーと、知ってる、ぞう……。
また、適当なこと言ってる!
仕方ない…。
では、今回はそんなセンパイのために、ガチャガチャの歴史について日本で最も詳しく、「ガチャガチャの伝道師」と呼ばれている小野尾勝彦さんに、ガチャガチャの歴史と、ガチャガチャと企業プロモーションコラボの成功事例、今後の展望についてお話を伺いに行きましょう!
な、なんて、準備がいいんだ……。
ガチャガチャの歴史
そういうことで、早速ですが、株式会社築地ファクトリー代表取締役社長で、ガチャガチャビジネスを生業にして25年、
日本におけるガチャガチャの「伝道師」と呼ばれ、日本ガチャガチャ協会の会長をつとめている小野尾勝彦さんにお伺いした、ガチャガチャの歴史からご紹介します。
ガチャガチャのルーツは意外と古く、今から140年前の1880年にアメリカで生まれました。当時はキャンディやガムの自動販売機だったそうです。
そして1930年後半頃から、ガムの他にカプセルに入った小さなおもちゃを入れるようになり、当たり外れのギャンブル要素を高めたことでさらに子どもたちに人気となりました。
1965年にペニイ商会という会社が、この「ツマミを回してカプセルを出すおもちゃ」を日本でも広めたいと、東京で日本初のカプセル玩具会社を立ち上げました。それから日本各地にガチャガチャの自販機が置かれるようになったのです。
小野尾さんが当時の貴重なカプセル玩具とその木型を持ってきてくれました。この小ささと精巧さ!手先の器用な日本の職人技が光ります。
ガチャガチャのおもちゃ(カプセル玩具)は怪獣や昆虫、飛行機やスーパーカーなど本物そっくりなミニチュアの魅力と、「ガチャガチャ」と音を立てながら回す楽しさと、何が出てくるかわからないワクワク感とでたちまち日本の子どもたちのハートを掴みました。
そして時代とともに、ガチャガチャの種類は子ども向けから大人をターゲットにしたものにまで増え、今や大きなショッピングモールのほとんどにガチャガチャの特設コーナーがあります。さらにはコンサートホールや博物館、美術館でもガチャガチャ自販機を目にするようになりました。
※ガチャガチャの歴史については小野尾さんのホームページに詳しく書かれていますのでぜひご覧ください。
ガチャガチャ・ガチャポンラボ
ガチャガチャを取り入れたプロモーション事例
今年は日本でガチャガチャが生まれて55年目になります。
ガチャガチャ業界にはこれまでに多くの大手玩具メーカーやメディアが参入し、マンガやアニメなどとのコラボアイテムが販売されてきました。
一般企業からもガチャガチャを自社のブランド認知や集客プロモーションに取り入れて成功した事例がたくさん生まれています。
小野尾さんにそのいくつかを紹介していただきましょう。
来店促進ガチャガチャ
まずおなじみなのは、ファーストフード店やファミレスなどで限定メニューを注文するともらえるコインでお店のガチャガチャが引けるという企画です。
とくにキッズメニューでよく利用されていて、ガチャガチャが目当ての子どもを連れたファミリー客の来店促進につながっています。
小野尾さん「おもちゃそのものよりも、今も昔も子どもにとってはガチャガチャを回しておもちゃを得るという体験が魅力なんですよね。」
商品やキャラクターのミニチュアガチャガチャ
今は街であまり見かけなくなった公衆電話のミニチュアですが、単に小さいだけではなく実際に受話器を取ればフックが上下し、ダイヤルボタンを押したり回したりできるギミック付きです。
公衆電話を知らない今時の子どもに「遊びながら公衆電話の掛け方を疑似体験してもらい、災害時に公衆電話を利用できるように」という思いも込めて企画されたそうです。
小野尾さん「こういう大人に懐かしさを感じてもらうだけでなく、子どもも遊べて役に立つというのは、世代を問わず人気のあるガチャガチャのアイテムにぴったりですね。
公衆電話やお菓子のパッケージなどの誰もが知ってるアイテムは精巧に小さく作られただけでとてもかわいい特別なものになるんですよ。
特に日本人は小さいものが好きですから。」
もうひとつご紹介するのは、いつも荷物を届けてくれる宅配便の男性配達員をキャラクターにした「佐川男子シチュ萌えグッズ」ガチャガチャです。
こちらは発売と同時に話題となり大ヒットしました。
小野尾さん「これはSNSで人気が広まった例ですね。
この場合一般のお客さんからの「もっと欲しい」という声がメーカーにではなく企業の方に多く届くんです。
その後佐川急便の会長さんから「顧客に配りたいのでもっと作って欲しい」との依頼があり初期生産数の5倍の追加受注が生まれたらしいです。
この商品のアイデアを考えたのは女性です。女性にヒットするとSNSでの商品の認知が広がりますね。」
小さくて精巧なもの、なつかしいもの、かわいいキャラクターものは昔も今も普遍に人気がありますが、その特性を持つガチャガチャにとってSNSの時代は追い風のようです。
アーティストグッズガチャガチャ
音楽がネットで配信されるようになりCDが売れなくなってきた昨今、音楽業界が力を入れているのがアーティストのライブと会場でのグッズ販売です。
特に若い世代に人気があるのは、イラスト・アニメの世界(2次元)を実際の人間・実写(3次元)で表現する「2.5次元」と呼ばれるコンテンツで、グッズとの親和性が高いため会場の物販コーナーは長蛇の列となっています。
小野尾さん「ガチャ自販機は置くだけで売上が見込める魔法のマシン。イベント会場など人の多い場所で勝手に働くサイレントセールスマンです。」
ここでもガチャガチャは人気で、中のアイテムは主に缶バッチやキーホルダーですが、会場ではダブったアイテムを目当てのアイテムと交換してくれる人を求めて「あげます」「欲しいです」という声が上がり、ガチャガチャをきっかけにファン同士のコミュニケーションが生まれているそうです。
そういえば昭和の昔にも、子どもたちが駄菓子屋さんのガチャガチャの前で取り換えっこをして、知らない子同士でもそこで仲良くなる風景がありましたね。
ガチャガチャのおもしろ活用事例
さて次はガチャガチャを「ガチャガチャ自販機+アイテム販売」という枠にとどめずアイデアを広げた事例をご紹介しましょう。
ガチャガチャの商品には伝統的に「マニアックで変なもの」「ブラックなもの」というカテゴリーが存在します。
ガチャガチャ自体が「遊び心」という要素で出来ているせいか、マイナーでもやや不謹慎でもネタとして許容されやすく、センス次第でインパクトあるプロモーションに繋げることができます。
マジメにふざける遊び心いっぱいのプロモーション
ガチャガチャの新商品プロモーションに、そんな遊び心をいっぱい注いだ会社がありました。
これはスパナやバールなどの工具を模したビニールマスコットのシリーズですが、商品タイトルが「鈍器のようなもの」で、「殺人現場にありがちな”あの鈍器”が空ビマスコットになって登場!」というキャッチコピーがついています。
ユニークですがかなりブラックです(笑)
今年1月に、カプセルトイブランド『 TAMA‐KYU(たまきゅう)』から発売された商品ですが、なんとこの会社はこの「鈍器のようなもの」で殺人事件が起きるというショートムービーまで作ってしまいました。
YouTubeの『TAMA-KYU(たまきゅう)』公式チャンネルで公開中です。
動画はこちら→鈍器のようなもの THE MOVIE
なんと11分38秒の大作です!!
動画は2020年1月26日に公開されてから現在(2月末)までで4万6千回以上再生されています。
小野尾さん「ノリの良さというか遊び心がありますよね。社員の手作り感満載ムービーなんですが、最後のダンスまでよく作り込まれています。なによりも作り手が楽しんでることが伝わりますよ。」
確かに伝わります!
これを見た人の多くは、「この会社おもしろいな、楽しそうだな」と興味を持つではないでしょうか。
その発想はなかった!ガチャガチャを回して本を買う!?
もうひとつはガチャガチャを店番+レジとして活用している本屋さんの事例です。
小野尾さん「東京の三鷹にちょっとおもしろい本屋があるんですよ。古本屋なんだけどお店に店員がいないんです。
で、どうやってお客さんは本を買うのかというと、レジの代わりにガチャガチャ自販機が置いてあるんです。本の値段分のコインを入れて回すとカプセルが出てきて中には袋が入ってる。お客さんは自分でその袋に本を入れて帰るんです。」
ガチャガチャがレジ代わり??・・・その本屋さんの名前は無人古本屋「BOOK ROAD」さん。東京都武蔵野市・三鷹駅から徒歩15分の商店街の一角にあります。
田舎によくある野菜の無人販売のようなシステムです。
でも「箱にお金を入れて本を買う」では特におもしろみはないけれど、「ガチャガチャを回して本を買う」となるとそれは「ちょっとおもしろい体験」になりますね。
この体験を求めて地元だけでなく遠方からもお客さんがやってくるのだとか。
もちろん古本屋さんとして選書センスの良さも重要ですが、人気の理由にはガチャガチャをお店番として置いているおもしろさもあるのではないでしょうか。上のポスターでもガチャガチャのイラストがちょっと擬人化されていて可愛いですよね。
ここには無人だからと勝手に本を盗む人はなく、逆に買った本を読んだら返しに来るお客さんや、新書を寄贈してくれるお客さんなど、この店の仕組みから生まれる雰囲気を心地よいと感じる人たちを自然と引き寄せているようです。
小野尾さん「ガチャガチャが好きな人に悪い人はいないんですよ(笑)」
ガチャガチャとノベルティの今後の展望
最後に、ノベゾウ、プレミをはじめ、広報や販促PR担当の方のヒントになるような、今後のノベルティビジネスとガチャガチャのコラボについてアイデアを小野尾さんにお聞きしました。
小野尾さん「ガチャガチャの魅力といえばまず、何が出てくるのかわからないワクワク感ですね。そのコンセプトを利用したビジネスはまだまだ展開できると思います。
今はガチャガチャ機をお店に設置して中のカプセル商品を販売するという使われ方がほとんどですが、ガチャというマシンのプラットフォームをうまく利用して、先程の古本屋さんみたいにレジ代わりにしてもいいし、抽選やくじ引き用にしてもいいし、アイデア次第でいろんな可能性があります。場所だって家にガチャがあってもいいと思うし、病院にあったっていい。
今はみんなスマホを持っていますが、最近はQRコード決済できるガチャも開発されたんです。コインがなくても回せるガチャの誕生ですよ。最新のテクノロジーでガチャも進化しているんです。使われ方も広がっていくでしょう。」
ガチャガチャ自体も時代に合わせて進化を続けているのですね。
ガチャガチャの魅力まとめ
これまでに伺ったガチャガチャの魅力をまとめてみました。
- ガチャガチャを回すという行為そのものの楽しさ
- 何が出てくるかわからないギャンブル要素(ワクワク感)
- 低コストで設置でき、労力なく商品を販売してくれる
- ガチャガチャのある場でファン同士の交換コミュニケーションが生まれる
- 子どもはもちろん好きだけどけっこう大人も好き(世代を問わない)
- かわいくてユニークなガチャガチャのアイテムはSNSでシェアされやすい
小野尾さん、今日はありがとうございました!
センパイ、どうでした?
いや〜、面白かった!
子供だけじゃなく、大人がハマる理由もわかったぞう!
早速、帰りにやってみようかな?
ガチャガチャは狭いスペースにも設置できて電源の心配もいりません。
ガチャガチャ自販機本体も、イベントなどで期間中だけ利用したい場合はリースができる会社もあります。
設置場所と企画次第で簡単に導入も可能そうです。
自社の製品やサービスのファンを増やし、顧客に喜んでもらえるプロモーションやノベルティに最適だぞう!
今回のお話をヒントに、ガチャガチャの楽しさと魅力がかけ合わされた素晴らしい企画を考えましょ、センパイ!
取材先:小野尾 勝彦さん
株式会社築地ファクトリー代表取締役社長
ガチャガチャビジネスを生業にして25年。日本におけるガチャガチャの「伝道師」と呼ばれ、日本ガチャガチャ協会の会長をつとめている。
- ガチャガチャ・ガチャポンラボ:https://japangachagachalab1965.com/
- 企画・編集:
- NOVEZO編集部
- ライティング:
- 大関 留美子