販促とは
より多くの商品を売るための活動を「販売促進(販促)」または「セールスプロモーション(SP)」と言います。
インターネットやSNSが普及したことにより販促の方法(手法)は多様化しましたが、大きく分けると「オンラインによる販促」と「オフラインによる販促」の2つに分類できます。
詳しくは「販促はマーケティングの基礎 販促の種類と特徴を10の事例で紹介」をご覧ください。
販促のアイデアはたくさんありますが、大切なのは商材や目的に合った販促方法を選ぶことです。商材や目的に合っていない手法で販促したら、どんなに労力をかけても成果(売上)につながりません。
今回、販促方法をいくつかピックアップし、成功事例も含めてご紹介します。ぜひ、販促計画やプロモーションプランのアイデア出しにご活用ください。
ポイントサービス
ポイントサービスは鉄板の販促方法です。
ポイントを貯めて割引サービスを利用できたり、商品や景品と交換できたりとお得な特典を受けられるので、顧客はお得感を実感でき、継続利用しやすくなります。
ダスキンの家事代行サービス「メリーメイド」は、プレゼントカタログ「メリーゴール」を10年以上前から導入しています。
定期利用しているユーザーは継続してポイントが貯まっていく仕組みで、商品への交換率は上々。
交換商品をダスキンスタッフが直接届ける点はダスキンならではの強みで、顧客との関係性構築に貢献しています。
このように、ポイントサービスは継続利用を促し、リピーター創出に効果的な販促アイデアです。
チラシ配布
地域密着型のサービスであれば、チラシ配布もいまだに有効な販促アイデアです。先ほど紹介したダスキンも、新規顧客獲得の要は各家庭へのチラシ配布。
チラシはユーザーのニーズを捉えるのがカギです。
地域性に加えて、梅雨ならカビ対策、年末なら大掃除キャンペーンというように、季節のお悩みを踏まえてチラシを作成し、配布しています。
また、チラシではキャンペーン限定価格を打ち出すのもポイント。
ダスキンは初回特別料金でトライアルを促したり、期間限定価格でキャンペーンを実施したりと、さまざまな施策を通じて定期利用へとつなげています。
ポスティング以外にチラシの配布場所をつくると間口が広がります。
ダスキンはマンションのエントランスや病院など、利用者層が集まりやすい場所でパンフレットを配布しています。
さらに、産婦人科には産前産後の母親向けのプランを紹介するリーフレットも。
家事に労力を割けなくなる女性のニーズを捉えて配布しています。
こうした展開は、法人向けのサービスも実施していて、各施設との関係ができているダスキン独自の強みでもあります。
法人と個人の両方にサービス展開している企業であれば、こうした相乗効果を生む横の展開も販促アイデアに盛り込んではいかがでしょうか。
定期サービス
定期サービスの導入もひとつの販促アイデアです。
お得な定期価格を設定することで、顧客の離脱を防ぎリピーター確保を期待できます。
とはいえ定期サービスの申し込みはハードルが高いのも事実。
価格のほかにも定期利用ならではの付加価値をつけて、ブランドの固定ファンになってもらう必要があります。
固定ファンづくりに適しているのが、定期的なリーフレットの配布。
先述した家事代行サービス「メリーメイド」は、会報誌「クオリティタイムス」を年に4回発行し、スタッフが顧客に手渡ししています。
一番目立つ表紙にはサービスの特徴や思いを、中面には「ホットワインでリラックスした生活」「五感で楽しむ和食器の活用法」といった暮らしのヒントを掲載して、良質な読み物に仕上げています。
こうしたツールでマンネリ化を防ぐのも、定期サービス普及のカギです。
来場プレゼントキャンペーン
販促の肝は、競合他社との差別化でもあります。
商品やサービス事態での差別化が難しい場合、そんな時に取り入れたいのがプレゼントキャンペーン。
来店者へのキャンペーンは、それ自体が店舗に足を運ぶ理由になり、差別化につながります。
ソフトバンクモバイル 家族でチャレンジ!お父さんガチャキャンペーン
ソフトバンクが店舗にガチャの自販機を設置し、来店者にCMで人気の「お父さん」グッズのプレゼントキャンペーンを実施したところ、ガチャを回して中身を確認するまで販売員が接客できました。
通常の来店だとパンフレットを渡すだけで終わりがちな接客も、来店限定のキャンペーンならば顧客との会話が生まれ、営業できるのです。
営業力に自信がある場合におすすめの販促アイデアといえるでしょう。
「お父さん」グッズのガチャは、「白戸家」という家族をCMで描き続けてきたことによって培われた高いブランド力とキャラクターの人気が土台にありますが、家族連れの来店を増やすという目標を達成するために、子どもだけでなく大人もノスタルジーを感じてワクワクするガチャの自販機をフックにしました。
ガチャは2人以上の家族来店でチャレンジできます。
その結果、キャンペーンの来店者数は累計200万人以上、コストパフォーマンスも前年比120%と高い販促効果を発揮したのです。
フォルクスワーゲン来場記念品
フォルクスワーゲンでも、家族での来場を促すためのプレゼントキャンペーンを実施しています。プレゼントする来場記念品は「ワーゲンバス チョロQ」。実際の車をミニチュアにした非売品で希少価値が高いため、子どもはもちろん、車好きの大人にも喜ばれる限定アイテムです。
ほかにも試乗記念として、大容量で実用的なエコトートバッグをプレゼントするなど、男性だけではなく家族が訪れたくなる施策を複数展開しています。
メインターゲットが家族なら、いかに子どもを喜ばせる特典をつけるかが重要です。できれば家族全員が喜ぶものが望ましいですが、難しければ子どもが喜ぶノベルティやプレミアムグッズを候補に入れるといいでしょう。その際も「ワーゲンバス チョロQ」のようにブランドならではの特典にして、ブランドの価値を高めることができればより購買意欲を高めることができ、効果的です。
ジュビロ磐田サポーターズクラブ スタジアム来場特典グッズ
普段の生活の中で応援しているチームやアーティストなどを身近に感じられる限定プレミアムグッズは、普段持ち歩くものから家で使えるものまで幅広いアイテムが展開されています。ファンならではの特別感があり愛着が強くなるため、来場促進に効果的だと言われています。
ジュビロ磐田サポーターズクラブ来場特典プレゼントのリュックサックはサイドポケットにペットボトルが入り、中の収納ポケットにはノートパソコンも収納できるので、試合観戦時はもちろん、シンプルなデザインでスーツにも違和感無く合わせられるように計算されています。軽量で通勤通学にも適していて、ファンの生活スタイルを考慮して考えられたデザインが光っています。
日常的に活用できるアイテムをプレミアムグッズにする場合は、ターゲットがどんな生活を送っているか、どんなアイテムであれば活用しやすいか考えてから考案するのがポイントです。使い勝手の良いアイテムであれば愛用品になり、プレミアムグッズが生活に浸透するためファン化しやすくなるでしょう。
ノベルティ配布
ノベルティも王道の販促アイデアです。
ノベルティは企業名やブランド名、商品名などのロゴが入ったグッズのことです。
顧客が喜ぶアイテムを選び、推したい商材とノベルティを掛け合わせ、効果的なキャンペーンにつなげるのがポイントです。
さきほど紹介したソフトバンクもノベルティを数多く配布している会社で、常に目指している目標や抱えている課題を意識し、目標達成や課題解決ができるノベルティ配布を心がけています。
売上を伸ばすのに有効なノベルティの配布方法は、一定数、あるいは一定金額以上購入した人を対象にしたプレゼントキャンペーンです。
商品についているバーコードを集めて応募するタイプのキャンペーンが多いです。
い・ろ・は・す BEAMS DESIGN 限定グッズが必ずもらえるキャンペーン
コカ・コーラの「BEAMS DESIGN 限定グッズが必ずもらえる!! キャンペーン」では、ミネラルウォーター「いろはす」のバーコードを24枚集めればオリジナルマルシェバッグ、48枚集めればオリジナルアルミタンブラーがもらえます。
人気ブランド「BEAMS」とコラボしたのもポイントで、注目度を高めつつBEAMSユーザーを新規顧客として取り込む狙いもあります。
野菜をぐいっと飲もう!オリジナルグッズ 伊藤園キャンペーン
伊藤園の「野菜をぐいっと飲もう!キャンペーン」では、野菜ジュース「充実野菜」「1日分の野菜」のバーコードを20枚以上集めると手動スムーズ―ミキサーが、バーコード5枚でちびまる子ちゃんの野菜実感コップが必ずもらえます。
対象商品である野菜飲料を自分好みにアレンジ出来たり、野菜の摂取相当量が分かるなど、すでに商品を買ってくれている消費者が「あるといいかも」と思えるグッズを展開することにより、キャンペーン中はもちろん、継続的な購入を促しています。
枚数に応じて商品のランクを変えられるのもいいですね。
伊藤園・健康ミネラルむぎ茶 暑さ対策グッズが絶対もらえるキャンペーン
伊藤園の「夏を快適に!暑さ対策グッズが絶対もらえる!」キャンペーンでは、健康ミネラルむぎ茶を購入し、応募マークを集めてポイントを貯めるとオリジナルの暑さ対策グッズがもらえます。
毎年麦茶の消費が増える初夏から秋口にかけてキャンペーンを実施することで、毎年商品を購入してくれるリピーターを創出。
また、ターゲットである子育て世代がもらって嬉しいノベルティグッズの展開で新規顧客の獲得にもつなげています。
SNSキャンペーン
近年爆発的に増えているのがSNSキャンペーンです。SNSで受けそうなネタ性のある販促品や、SNSでシェアされやすいキャラクターコラボなどをキャンペーン展開することで、多くの広告費をかけずともSNSで話題を集め、大きな宣伝効果を発揮することが可能です。
SNSキャンペーンでは話題性を重視しがちですが、商品やブランドの魅力を伝えやすい形で展開するのがポイントです。どんなにおもしろい切り口でも、本来の価値が伝わらなければ意味がありません。「独自の魅力を伝えるために、どんなキャンペーンにすればSNSでシェアしたい内容になるか」と考えましょう。
SNSはツイッター、インスタグラム、フェイスブック、ライン、ティックトックなどさまざまなメディアがあり、メディアごとに利用しているユーザーの層や特徴、広告形式が異なるため、どのSNSがキャンペーンに適しているか見極めてから実施するのがおすすめです。
プッチンプリンおうち基地が当たるキャンペーン
食品メーカーのグリコでは、プレゼントキャンペーンにて大人3人が入れる大きさのプッチンプリン型「おうち基地」を抽選で50名に提供しています。
見た目のインパクトから子どもだけでなく大人にも受け入れられるデザインになっていて、SNS受けがいい販促品になっています。そのためツイッターでのフォロー&リツイートを応募条件としており、多くの反響がありました。こうしたおもしろさのあるキャッチ―なプレミアムグッズは、SNSキャンペーンに適しています。
プッチンプリンそのもののデザインでロゴも入っていて、煙突型の望遠鏡が付いていたり草の装飾があったりと遊び心もたっぷりです。見た目のかわいらしさはもちろん、子どもの冒険心をくすぐるこだわりが感じられます。コロナ禍で外出自粛している子供向けのアイテムで、トレンドを取り入れているのもポイントです。
ポカリスエット #ポカリのまなきゃ
大塚製薬株式会社は、ポカリスエットの販促を目的に「#ポカリのまなきゃ」または「#ポカリたべなきゃ」というハッシュタグキャンペーンを実施しました。ポカリスエットの公式アカウントをフォローの上、ツイッターかインスタグラムでハッシュタグ付きの写真・動画を投稿すると、オリジナルグッズがプレゼントされるというもの。
特徴は「投稿数が増えると当選者数も増える」というユーザー参加型の仕組みになっていることです。ポカリスエット広告のキャッチコピー「ポカリ、のまなきゃ」をそのままハッシュタグにして、ブランドメッセージを伝わりやすくし、ブランディングに直結させているのがポイントです。
「ハート6P」クッションが当たるTwitterキャンペーン
雪印メグミルク株式会社は、6Pチーズの公式Twitterアカウントにて「#愛チーズ Twitterプレゼントキャンペーン」を実施しました。
商品を購入し、パッケージがハートになっている6Pチーズを見つけたら写真を撮って応募するキャンペーン。
ターゲットであるファミリー層が楽しく参加できるキャンペーンで、写真の投稿が応募条件なのでSNS上でたくさんの人に拡散されました。
コラボレーション企画
人気のキャラクターや他社ブランドとのコラボレーションは、新規顧客を生み出し、ブランドイメージを定着させることにもつながります。
とはいえ、まったく違うターゲット層を持つブランド同士がコラボレーションしてもうまくいきません。
販促のポイントは、同じターゲット層と似た世界観を持っているブランドとコラボレーションすること。
そうすれば高い相乗効果を発揮できます。
ポッキー×PEANUTS(ピーナッツ)コラボレーションキャンペーン
このポイントを踏まえてコラボレーション企画を成功させたのが、ポッキーとスヌーピーのキャンペーンです。
CG/3D 映画『I LOVE スヌーピーTHE PEANUTS MOVIE』が公開されたタイミングで、江崎グリコの「ポッキー」と漫画「PEANUTS(ピーナッツ)」のコラボレーションキャンペーンが実施されました。
期間限定商品として「ピーナッツポッキー」を販売し、スヌーピーファンを取り込んだのです。
ポッキーの核となる価値は「share happiness!」、つまりシェア。
同キャンペーンの目的は「ポッキーをシェアする機会の多発化・自発化」でした。
消費者がまわりの人たちとポッキーをシェアして楽しさを体験し、人間関係を豊かにすることを目指しています。
漫画「PEANUTS(ピーナッツ)」ではスヌーピーを中心にさまざまなキャラクターが豊かな関係を築いており、ファン層も若い女性が中心。
コラボレーションの対象として理想的です。
こうしたキャンペーンでは、開始前に販路の確認などを入念に行って準備するのがポイント。
コラボレーション企画はメディアにも取り上げられやすいので、プレスリリースも行いましょう。
ダイドードリンコ 鬼滅缶でWチャンス!!キャンペーン
ダイドードリンコ株式会社は、ダイドードリンコ45周年を記念して、大人気TVアニメ「鬼滅の刃」とのコラボを実現しています。国民的大ヒットとなった「鬼滅の刃」ブームにうまく乗ったキャンペーンで、多くの注目を集めました。
購入者全員の特典として「買ったら必ず聴けるオリジナル励ましボイス(全28種)」を、抽選で100名に希少性の高いクローズド景品「禰豆子の竹筒スピーカー」を配布しました。デジタルノベルティを用意することで全員への特典を配布できるようになり、累計数十万件の応募を獲得しました。
NOVEZO的には、禰豆子の竹筒スピーカーのこだわりが見逃せません!なんと一部に本物の竹を使用していて、スペシャル感が感じられる作りです。コラボによるプレゼントキャンペーンの場合、プレミアムグッズでコラボした作品の世界観をしっかり体現することも、ターゲットを惹きつけるために欠かせないポイントでしょう。
キットカット ひと月遅れの卒業式 with JO1
コロナ禍により卒業式が開催されず、式典に参加することができない卒業生が多くいました。そこでネスレ日本株式会社はキャンペーン 「“キットカット” ひと月遅れの卒業式 with JO1」を実施しました。「1 人でも多くの卒業生の皆さまの門出を祝いたい」という共通の 想いでタッグを組んだグローバルボーイズグループ JO1 のメンバーと共に、デジタル上で卒業生の新たな 門出を祝うセレモニーです。
だれでも視聴できるJO1 メンバーによるメッセージ動画を公開し、JO1 メンバーが当選者の名前を公開動画内で読み上げる特典や、JO1 メンバーからの直筆サイン入り 「キットカット」などがプレゼントされるキャンペーンを展開しました。こちらもデジタルノベルティとうまく組み合わせている事例です。
参加条件は「キットカット」の公式ツイッターアカウントをフォローし、ハッシュタグ「#ひと月遅れの卒業式」「#JO1」をつけてツイートするというもの。 SNSでの露出を高めながら、時世に合った社会貢献キャンペーンを実施することで、メディアにも取り上げられやすい取り組みを実現しています。売り上げアップにはもちろん、企業ブランディングとしても効果的なプレゼントキャンペーンです。
除菌できるアルコールタオル 「アウトドアにやさしいエールを」キャンペーン
大王製紙株式会社は、アウトドアカジュアルブランドの「CHUMS」とのコラボレーション企画を実施。
キャンプなどアウトドアシーンで活躍する「除菌できるアルコールタオル」のCHUMSコラボボトルを発売し、コラボボトルの購入で秋冬のアウトドアグッズが当たるプレゼントキャンペーンを実施しました。
コロナ禍で必需品だったアルコールタオルですが、現在では子育て世代など購入する層が限られてきています。おしゃれに使えるコラボボトルの発売でアウトドアシーンやスポーツシーンなどで使う新規顧客の獲得が実現できそうです。
まとめ
販促アイデアは豊富にありますが、成功した事例を分析すると、消費者のニーズを捉えたうえで求められる仕組みをつくっています。
そして、アイデアに基づいて企画された販促物は消費者に購買行動を促す効果が高いので「ターゲットにどんな内容を、どのように伝えるのか」を設計すれば、さらに効果的な販促ができるでしょう。
販促物に関しては「販促物とは?販売促進の方法、販促物の種類、成功事例を解説」も参考にしてください。
今回ご紹介したアイデアを参考に、ブランドのポジショニングを明確にし、魅力を最大化する販促を考えてくださいね。
具体的に販促の相談をしたい方は、お気軽にNOVEZOにお問い合わせください。
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- 秋カヲリ